台湾地震、「鉄道のスピード復旧」なぜできたのか AIで落石検知、「双単線」方式活用し暫定運行

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一方、台北都市圏では中心部の影響はなかったものの、2021年に部分開業した台北の外郭を結ぶ環状線の橋桁がずれ、被害を受けた。地震当日より代替のシャトルバスが運賃無料で運行されたが、運行区間が2つに分断される形となった。

台北 環状線 橋げた 破損
地震によってずれた環状線の橋桁(写真:Bloomberg)
台北 環状線 地震代替バス
地震当日から環状線は代替のシャトルバスが用意された(筆者撮影)

そのうち、板橋―新北産業園区間は地震当日の17時にいち早く復旧された。しかし、この区間は部分開業時の暫定的な終端駅となっている新北産業園区を除き、列車の運行方向を変えることのできる折り返し設備がない。ここで活用されたのが双単線(そうたんせん)と呼ばれる線路構造だ。

「双単線」活用しスムーズに復旧

台湾の鉄道網は一見、それぞれ反対方向の列車が運行する複線のようでも、実際には単線を2つに並べた双単線と呼ばれる方式が採用されている。運行間隔の過密な日本では見る機会が少ない構造であるが、台湾の在来線では渡り線を活用した追い越しに使われ、ダイヤが乱れた際には同方向の列車の追い抜きもできる。事故発生時や線路障害時に復旧を早めることができるといったメリットがあり、ヨーロッパの鉄道で多く採用されている。日本製の車両が採用されている台湾高速鉄道(新幹線)も、線路はそれに倣って同じ仕様だ。

今回、板橋―新北産業園区間では、復旧当初は1本の線路のみを利用したシャトル輸送が行われたが、それでは運行間隔が普段の倍となってしまう。そこで5日からは輸送力増強のため、2本の線路にそれぞれ1つの列車を別方向に走らせ、終点に到着後は回送列車として折り返すという運行形態を採用。通常のホーム上での行き先案内に沿った形で、混乱の起きないスムーズな暫定運行が実現した。

双単線 環状線暫定運行図
「双単線」を活用した環状線の臨時復旧(筆者作図)
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