台湾地震、「鉄道のスピード復旧」なぜできたのか AIで落石検知、「双単線」方式活用し暫定運行
落石検知警告システムは2021年、線路内に工事中のトレーラーが落下し列車が衝突した太魯閣(タロコ)号脱線事故の反省や、平渓線で多発していた落石事故に備え整備された装置で、2022年度末までに土石流や落石の可能性が高い26カ所に整備された。
地震発生時は、太魯閣402次(402号)が落石の現場近くを走行していたが、検知システムによって衝突を防いだ。過去には線路に侵入した猿までも感知してしまい話題となった装置であるが、今回は本領を発揮することとなった。
こうして、大きな列車事故もなく線路は地震発生翌日の4日未明に復旧。道路が復旧しない中、通常運転に加えて花蓮へ向かう快速列車(区間快)を5往復増発し、物資を運んだ。定時運行率も会社発表で83%を維持し、被災地への輸送を支えた。
陸・海・空の交通総出で代替輸送
しかし、地震発生の翌々日、5日金曜日に帰省する旅客は鉄道の増発だけではカバーできず、さまざまな交通機関が手を取り合っての総力戦となった。国内線の空の便も増発したほか、北部と東部を結ぶ山岳を貫く高速道路が整備されている区間では高速バスを増発し、道路が不通の区間では鉄道に乗り換えるといった、複数の交通機関を組み合わせた利用を促すなど機敏な対応が行われた。
特筆すべきは自動車での移動需要も考慮し、地震翌日の4日から道路が不通となっている区間を通常は運用のない船を利用し結んだことだ。初日は蘇澳港から花蓮港の間で、乗用車を往復176台輸送、旅客は鉄道を使い移動した。
さらに5日からは「新臺馬輪」と呼ばれるフェリーも追加で投入し、輸送力を増強。こちらは普段、台湾本島と馬祖島を結ぶ航路に使われている旅客船であるため、客席も開放した。この措置は連休明けの8日まで続いた。陸路のアクセスが制限される中で、異なる交通機関の組み合わせや、海運を即座に手配し対応することで輸送力を確保、効率を最大化する見事な連携プレーとなったといえよう。
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