のと鉄道「全線運行再開」では喜べない現地の実態 鉄道を取り巻く地域の復興はまだ見えない

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「がんばろう能登」のヘッドマークを付けて走るのと鉄道の車両(筆者撮影)

元日に発生した「令和6年能登半島地震」によって、当初、鉄道だけでなく道路、空港、港湾も大きな被害を受け、能登半島全域の交通が滞った。七尾―穴水間33.1kmを運行するのと鉄道も2カ所の崖崩れをはじめ線路や鉄道施設各所に被害を受け、運休を余儀なくされた。

関係者の必死の努力により、2月15日に能登中島駅まで再開。4月6日には穴水駅までの全線で運行できるようになった。出発式の後、穴水駅では「がんばろう能登」のヘッドマークを付けた車両を皆が手を振って見送り、目頭を押さえる人も多かったという。

【写真】「がんばろう能登」のヘッドマークを付けたのと鉄道の車両。沿線や駅に残る地震の爪痕で被害の大きさがわかる(10枚以上)

新学期に間に合うが、よく見ると被害が随所に

4月中旬には「能登さくら駅」とも呼ばれる能登鹿島駅ホームのソメイヨシノも満開になり、春の訪れ、能登復興の兆しを象徴する光景が報道された。なにより、毎日定時運行する鉄道の姿に、能登の人々は希望を見て元気づけられている。

しかし、5月7日に訪ねたのと鉄道旅行センター所長の山崎研一さんは「みなさんに『のと鉄道の再開おめでとう』と言われるのだが、うれしい気持ちにはなれない」と言う。

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