ロシアに無知だったEUはソ連のように自壊する ロシアを民主主義の反面教師としてきた欧州のツケ
ロシアという脅威は、ロシアという地域に存在しているだけではない。ヨーロッパからすれば、ロシア以外にも中国、インド、中東などという「別のロシア」が存在している。もし、ロシアがEUやNATOに入っていたら、中国という次なるロシアを見つけねばならないはずだ。
ロシアを文明化した後は中国、中国を文明化した後はインドといった具合に、世界を西欧文明に巻き込み、その価値観を押しつけ続けるしかない。幸いにも彼らが抵抗してくれれば、それらの地域を野蛮な帝国と位置づけ、聖戦として戦うことで、ヨーロッパのアイデンティティーを確認すればいい。
ウクライナよりEUが崩壊する?
とはいえ、文明は1つではないし、歴史も1つの方向に進むものではない。西欧文明はあくまで西欧文明なのである。ロシアは西欧文明ではない。いわんや中国やインドは西欧文明ではない。それでいいのだ。
そうした伝統ある文明は、太陽系の中心の太陽のようにまわりの周辺文明を引きつける。だからそうした文明に挑戦すれば、やがてはその引力に引き寄せられ、引き裂かれて、その系の一惑星になる可能性がある。
ウクライナ戦争が始まったとき、まさにロシアという敵が出現したことで、米欧諸国は1つに団結できた。政府もマスコミもこぞってロシアを悪役としてあぶり出し、正義の同盟としてのNATOを鼓舞した。
しかし、西欧にとってロシアという敵は、本当はロシアだけではなく、「野蛮な」アジアやアフリカ諸国であることを知ったアジア・アフリカ諸国の多くは、NATOの側ではなくロシアの側に立ったのである。
そうした問題が起きれば起きるほど、西欧の団結よりもアジア・アフリカ諸国の団結が力を得てくる。そうした状況の中、西欧諸国の中には不安を持つ国が出てきている。
とりわけ少し前までソ連の衛星国であり野蛮の象徴であった東欧諸国は、1989年以降の西欧に引き寄せられた歴史を思い起こすはずだ。西欧諸国にとって東欧諸国は西欧の周辺諸国にしかすぎず、捨て駒なのだ。自らもウクライナになる可能性があるのだ。
今ここで西欧が再びロシア脅威論を声高に叫んでいるのは、ヨーロッパの中で起こりつつある仲間割れを防ぐためかもしれない。ウクライナはもうもたないであろう。すでに、インフラ設備は破壊され、電気もガスもない状態だ。戦える状態ではない。
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