日銀の利上げで生じる「奨学金」の思わぬ誤算 貸与利率が10年ぶり高水準、増加する返済負担
第二種奨学金には、返済する利率に関して2つの算定方法がある。1つは、奨学金の辞退時や卒業時などの貸与終了時に決定した利率が返還完了まで適用される「利率固定方式」。もう1つは、貸与終了時に決定した利率をおおむね5年ごとに見直す「利率見直し方式」だ。
その貸与利率は日銀の金融政策に左右されてきた。日銀が2013年に異次元緩和を導入すると市場金利の低下を受けて貸与利率も大きく低下し、2016年のマイナス金利導入後は超低金利で推移してきた。
潮目が変わったのは2022年。海外金利の上昇につられて国内の長期金利も上昇し、固定方式の利率が反応。さらに日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化に舵を切ったことで、固定・見直し両方式の利率が本格的に上昇に転じた。
金利上昇で返済負担が増加
JASSOによれば、貸与利率は借入期間15年ないし20年の財政融資資金を、固定および変動で借り入れた際の金利を加重平均して決まるという。過去の推移を見ると、固定方式は10年物国債、見直し方式は5年物国債の金利と似た動きをしている。
市場では、日銀が年内にも追加利上げに踏み切るとの観測が強まる。市場金利に連動して、貸与利率のさらなる上昇は避けられない見通しだ。前回の利上げ局面である2007年当時、貸与利率は固定方式で1.9%、見直し方式で1.5%まで上昇した。
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