世界の一流は驚くべき場所で商談していた! 超富裕層の年間スケジュールはとんでもない
ただし、彼らのソーシャルカレンダーは閉じていると、フリードマンは指摘する。仲間だけで会いたいからだ。格差に対する社会の怒りが、富豪の世界をさらに見えにくくしており、派手な消費やこれ見よがしの享楽的生活は、超富裕層では流行らなくなった。それでも、億万長者になりたての人々のあいだでは、社会的なステータス争いがかつてないほど熱を帯びている。
「矛盾した集団だ」と、フリードマンは言う。「目立ちたくない、世間の標的になりたくないけれど、コミュニティも求めている。1年を通して世界各地で開かれる、選ばれた人だけのイベントは、世間の反応を気にする必要もなく、似たような志向の仲間とのコミュニティを提供する」
VIPの安心感と帰属意識
もちろん、こうしたイベントに年1、2回しか顔を出さない超リッチな富豪もいる。また、それぞれの興味を追求するイベントも派生している。美術品収集家はアートフェアーやオークションに足繁く通うが、ほかのイベントにはあまり関心がないかもしれない。馬好きは、春はケンタッキー州ルイビルのケンタッキー・ダービーに、9月にはケンタッキー州のキーンランド競馬場で開催される1歳馬のオークションに集結する。
メディアの大物は、7月に避暑地のサンバレーで大手投資会社が主催するアレン&カンパニー・カンファレンスに集う。ファッション通はニューヨークのファッションウィークと、パリで開催されるオートクチュールのショーははずせない。食通なら6月はコロラド州でアスペン・フード&ワイン・クラシックに、白トリュフの季節はイタリアに飛ぶ。
「『類は友を呼ぶ』だ」と、ネットジェッツのセールス部門の責任者パトリック・ギャラハーは言う。「こうしたイベントは、安心感と帰属意識を与えてくれる。似たような趣味と関心を持つ人々ばかりだ」
実際、サーキットに参加する富裕層は増えており、新しい「スーパー・サーキット」が生まれていると、ピゴッツィは言う。VIP向けイベントのなかで超VIPが集まるイベントだ。TEDカンファレンスでは、本会場の近くで開催されるその名も「ビリオネアズ・ディナー」の入場券は争奪戦だ。メディア界の本当の大物は、最近はカンヌ国際映画祭の数週間後に開催される広告賞「カンヌ・ライオンズ国際クリエイティブティ・フェスティバル」に出席する。
「ライオンズは大切なイベントになった」と、ピゴッツィは言う。「カンヌは主流になりすぎたから」
(執筆:ROBERT FRANK、翻訳:矢羽野薫)
© 2015 New York Times News Service
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