【産業天気図・銀行業】量的緩和解除を受け利ザヤ拡大、公的資金も完済へ

銀行業にとって2006年度は、まさに「反転攻勢」の年となりそうだ。長らく銀行業績の足を引っ張ってきた不良債権問題は04年度までにほぼ解消した。05年度にはそれが実績数値として確認され、秋口からの銀行株急騰を引き起こした。輸出を中心とする日本経済の好調を背景に、従来「問題先」とされていた貸出先が次々と改善。高い水準まで積み増した貸倒引当金の戻入益が多額計上され、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.東証>の中間期純利益がトヨタ自動車<7203.東証>のそれを超えるなど、銀行復活を裏付ける1年だった。
 続く06年度は、そうした特殊要因を除いた本業ベースでも大きな伸長が見込めそうだ。ゼロ金利は「当面維持」としつつも日銀の量的緩和解除を受け、市場は先行的に動き出した。預金金利は据え置きながら、個人向け貸し出しの軸となる住宅ローン金利は長短期を問わず上昇し始め、企業向け貸し出しも長期プライムレートが上昇基調と、念願の利ザヤ改善を各行とも果たせそうだ。みずほフィナンシャルグループ<8411.東証>、三菱UFJ、三井住友フィナンシャルグループ<8316.東証>の三大銀行グループはそろって、残る公的資金を06年度中に完済する方針だ。各社、06年度上期中での完済も視野にある。
 下期以降も、この勢いは続きそうだ。投資信託、個人年金保険販売などの手数料収入は都市銀行、地方銀行とも一段の伸長が見込まれる。大手行では協調融資の組成、ストラクチャードファイナンスなど法人向け手数料収入の本格化も期待できる。モスクワに次ぎ、ドバイに駐在所を開設する方針の三井住友FGのように、縮小基調が続いた海外業務のテコ入れも始まりそうだ。
 目下の懸念は、利用者による「儲け過ぎ批判」ぐらいだろう。
【風間直樹記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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