中国「勝ち組エンジニア」が語る日本移住の決め手 マイバッハに乗り温泉満喫しつつAIで起業も

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現在、11人の従業員を抱える。Xで社員を募集したところ、主に中国から1000通以上の応募があったという。これは決して意外ではなく、中国では景気減速が鮮明で大手テック企業もリストラの嵐が吹き荒れており、エンジニアが就職の機会を探すのに必死になっている。

郭氏が元々社員のためにツイッター(当時、現在はX)に書いた「移民指南」は100万超のアクセスを記録している。

実際に、中国人ITエンジニアが日本に移る動きが少しずつ目立つようになってきた。

ある日本のIT企業に勤める中国人女性は、「10年前ごろから中国のIT企業の発展に伴い、日本で優秀な中国人エンジニアを採用するのは難しくなってきていました。しかし、上海でロックダウンが始まった2022年4月以降には中国の名門大学でエンジニアを専攻した在校生・卒業生から応募が来るようになりました。以前にはなかったことです」と話す。

中国人エンジニアを活用できるか

「(福島第一原子力発電所の)処理水の問題が出てきた後、多くの(中国)メディアがプロパガンダを流しましたが、『985大学(北京大学や清華大学を含む39校の重点大学)』の卒業生など頭のいい人たちは躊躇うことなく日本に来ています」と証言する。

別の日本の大手IT企業に勤める中国人男性は「いま相当な数のITエンジニアが中国から来ています。ただ、ほとんどの人は下請け企業に行っています。『潤』で急いで日本に来た人は準備不足で、日本語スキルが足りないことが主な原因だと思います。日本企業は全般に採用が保守的で、入社には日本語能力を必須としていますから」と説明する。

中国への警戒感の高まる中で、企業が中国人の採用に二の足を踏む傾向もありそうだ。しかし、中国の厳しい環境で鍛えられてきた郭氏のようなエンジニアは、日本企業でも大きな戦力になることが期待される。彼らをどのように受け入れていくのかは、日本の競争力を占う上でも重要な要素となると思われる。

舛友 雄大 中国・東南アジア専門ジャーナリスト

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ますとも・たけひろ / Takehiro Masutomo

カリフォルニア大学国際関係修士。2010年中国メディアに入社後、日本を中心に国際報道を担当。2014年から2016年までシンガポール国立大学で研究員。

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