特にガバナンス・リスク管理面において、社内に支払業務などを残してしまうと、いくら業務改善しても、不正の芽を完全に絶つことはできない。支払業務を丸ごとアウトソーシングすることで、確実に社内の不正をゼロにすることができるのだ。これは“リスクのアウトソーシング”とも言えるだろう。
もうひとつ、“China to China”のBPOサービスが盛り上がっている理由は、「ガバナンスを強化することで結局は儲かる」ということだ。先ほど、“China to China”では人件費はむしろ上がる、というお話をしたが、それは純粋に人件費だけを比べた際の話で、BPOのもたらすビジネスバリューまで含めて計算すると、トータルの投資対効果がプラスとなるケースが多いのだ。
資対効果がプラスとなる3つのケースとは
たとえば、以下のようなケースが典型的である。
1.BPOを機に経費精算や販促費支払いにおける不正撲滅を図ることで、不正なキャッシュの流出が止まり、それはそのまま内部留保となって収益貢献してくれる
2.いつ突然の支払い請求が届くか分からない状況では、財務部としても大目に手元資金を持っておく必要があるが、BPOを通じて、キャッシュの“出”と“入り”を可視化することで、余剰資金を銀行預金でき、利子分の儲けが出る
3.営業担当者や購買部門が個別に決めている支払い条件や回収サイクルを見直すことでキャッシュフローを改善でき、余剰資金を銀行預金することで利子分の儲けが出る
3.のケースで補足すると、回収プロセスの整備により、売上50億円分の回収期間が1カ月早まったと仮定しよう。その分を中国の銀行に預け入れたとすると、いまの相場だと年率12%、月あたり1%の利子がつくことになるので、50億×1%=5000万円のキャッシュが新たに生まれる計算になる。もし回収サイクルが2カ月早まったとすると、毎月1億円の収益効果がもたらされることになる。BPOを起点にしたプロセス改善のインパクトがおわかりになるのではないだろうか。(第5話へ続く)
(使用イラスト:apichart / Imasia)
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