日本の在住外国人メディア、知ると驚く「深い世界」 日本の大企業も広告出稿「アルテルナチーバ」に迫る

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就労の制限がないこともあり「アルテルナチーバ」には人材会社の広告もたくさん躍る。製造業がかなりの部分を占めるが、食品加工、介護、倉庫、トラックドライバーといった仕事もある。カップルや夫婦で働ける職場だとアピールする求人が多いのはブラジル人の人柄を反映しているのだろう。

「引っ越し代負担!」をうたう求人も目立つが、これは少しでも給料のいい職場に移っていくことがブラジル人の間ではよくあることだからだそうだ。

「残業たくさんあります」なんてキャッチもあって、とにかく稼ごうというバイタリティーを感じるけれど、一方で昔もいまも日本人があまり就きたがらない人手不足の職場を外国人が支えているという現実も「アルテルナチーバ」の広告からは浮かび上がってくる。そして、もう少し正規雇用の求人広告が増えていけば、外国人の生活もより安定するのではと思った。

日本企業がブラジル人を募集する理由

「アルテルナチーバ」には日系の人材会社もたくさん出稿しているが、そのひとつが株式会社ユタカだ。

「もともと外国人と仕事をするというイメージはなかったんですよ。ブラジルと言われてもサッカーとサンバくらいしかわからなくて」

そう語るのは専務取締役の川上清一さん。会長の鶴の一声で「アルテルナチーバ」に出稿し、ブラジル人を募ることになったが、始めてみれば彼らの根気強さに驚かされた。

「工場などの現場では日本人従業員は早く辞めてしまうことが多いのですが、ブラジル人は残ってくれて、長く働いてくれるんです」(川上さん)

ユタカ専務の川上清一さん
「アルテルナチーバ」広告主の1つ、株式会社ユタカ専務取締役の川上清一さん

だからいつの間にか、外国人材を扱うほうが多くなっていった。「アルテルナチーバ」にも20年近く広告を出している。つまりはブラジル人の企業とビジネスを、金銭のやり取りを続けているわけだが、

「いまではうちの締め・支払い日に合わせてくれているし、そこは信頼関係があると思います」

と川上さんは言う。外国人を相手に商いをすることについて、とくに不安は感じていない。

さらにユタカは、ほかにもたくさんのエスニックメディアに広告を出してきた。タイ語、タガログ語、スペイン語……ウェブ版に移行したリ廃刊したものも多いが、それでもこれだけ多くの外国語の媒体が日本で発行されている。そして日本人から見れば、外国人社会というマーケットに直接アプローチできる窓口でもあるわけだ。

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