日本の在住外国人メディア、知ると驚く「深い世界」 日本の大企業も広告出稿「アルテルナチーバ」に迫る
なにせ日本に暮らすブラジル人はおよそ21万人、日本国籍を取得した人を含めると25万人ほどのマーケットを「アルテルナチーバ」は持っている。そこをターゲットに出稿しようという企業によって雑誌は成り立っている。ブラジル人が起業した会社もたくさんあるし、日本の企業も並ぶ。
「いままでにJALやソニー、東芝といった企業に広告を出していただいたこともあります。広告代理店ともお付き合いしていますしね」(田井さん)
ほかにも日本の企業でいえば、クレジットカード会社や不動産関連、さらには宝くじの広告が掲載されることもある。
「うちの広告には人生すべてがあるって、よく冗談で言うんです。結婚するときのパーティー会場からケーキの手配、ブラジル人学校、それに離婚でもめたときの弁護士まで」(田井さん)
これまで日系企業、ブラジル人の企業、計4000社が広告出稿したというが、それだけの広告効果が「アルテルナチーバ」にはあると考えられているのだ。
その理由の1つに、読者の日系ブラジル人は「定住者」という安定したビザ(在留資格)を持って日本で生活していることが挙げられるだろう。
ブラジル人が日本に定着した背景
「技能実習」「特定技能」「留学」などの在留資格と違って「定住者」には就労の制限がなく、日本人と同じように自由に働ける。だから長年、日本で暮らしている人も多く、コミュニティーが広く深いし、日本社会になじんでいる人も多い。
そんな「定住者」の在留資格が日系人に与えられたのは1990年のこと。時はバブルの絶頂期、モノはばんばん売れたが生産現場はつねに人手が足りなかった。工場などでの労働は3K(きつい、汚い、危険)といわれ、避けられるようになったからだ。
選べるほどたくさんの仕事があったということでもあるだろうが、政府は労働力不足を補うべく、外国人に目をつけた。それも日系人だ。ブラジルやペルーなど南米には明治時代から昭和初期にかけて移民していった日本人の子孫が根を張っている。彼らを労働力として呼び込むことにしたのだ。
日系2世と3世、その配偶者は「定住者」という在留資格を取得できるようになり、愛知や群馬、静岡など全国各地の工場地帯を中心に日系ブラジル人が定着するようになったというわけだ。
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