若手の電話対応が「テルハラ」になる日本の大問題 海外では想定できない日本企業独特の問題に

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アメリカなど多くの国では、誰が何をするという職務(ジョブ)が明確に決められています。過ちを犯した人が謝罪の電話をします。クレーム処理の担当者がクレーム電話に対応します。誰かの代わりに謝罪の電話をしたり、クレーム対応を任せられるということはありません。

また、職場ではデスクが個人ごとにパーティションで仕切られています。自分のデスクにかかってきた電話を取るだけで、他人の席の電話や代表電話を取ったりはしません。アメリカでは、他人のデスクの電話を取ると、「他人の仕事を横取りしようとした」と捉えられます。

とりあえず若い奴がやっておけ?

日本でテルハラが問題になっているのは、日本独特の働き方や人事システムの違いによります。日本では、職務が不明確なこと、年功序列の人事システムであることから、簡単な電話対応や誰が担当かはっきりしないことは「とりあえず若い奴がやっておけよ」となっているのです。

いま日本企業は、担当する職務を明確にして雇用するジョブ型雇用への転換を進めています。また、年功序列的な人事システムを見直そうとしています。こうした動きが本格化したら、テルハラの問題は解消されることでしょう。

逆に、もし数年後にもテルハラが問題になっているとすれば、働き方改革は掛け声倒れで、伝統的な働き方が変わっていないと見ることができます。テルハラは日本企業の働き方改革の成否を見る試金石と言えそうです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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