日経平均、次の大きな節目はいくらか ITバブル時の高値2万0833円突破へ

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思い起こせば、2013年末にかけては、証券優遇税制の廃止による駆け込み売りが増える代わりに、2014年開始のNISA(少額投資非課税制度)対応で、国内の個人の買いがかなり盛り上がり、株価上昇に拍車をかけるかたちとなりました。

しかしながら残念なことに、2014年に入ったとたん、海外投資家の売りが出て相場は下落しました。株主総会を境に急に下落に転じることはないと思いますが、海外投資家が夏休みをとる前に、利益を確保する考えは「あり」だと思います。

とはいえ、崩れそうで崩れなかった欧米株式や為替の円安ドル高に加え、ITバブル時に買った持ち株の評価損の改善や、新興株の上昇を通じて投資家の強気マインドが強化されています。

「プチ小型株バブル相場」が始まった?

マザーズ指数は1000のフシを突破してきました。新規上場が再開したことで新興市場に資金流入が顕著です。米国でもNASDAQやラッセル、バイオテクノロジー指数などの小型株を主体とする指数が史上最高値を更新するなど、日本とよく似た現象が起きています。

実際、マザーズ市場の2004年~2014年までの11年間の売買代金を調べると、東証1部とは違い、6月に増加する傾向があり、7月も年間のなかでは比較的高水準を維持することが多いようです。今年は6月22日現在、6月の1日あたりの平均売買代金が1000億円(6月の11年平均では600億円程度)まで増加してきており、出来高が株価に先行している可能性が高そうです。もしかすると、「プチ小型株バブル相場」の始まりのような局面とみています。

当然ながら、マザーズ市場もアベノミクス相場の恩恵を享受したわけですが、実は2013年5月以降は調整が続いていました。チャートの話で恐縮ですが、東証マザーズ指数は2013年5月高値を起点に、2014年1月高値を通る「上値抵抗ライン」(上値の壁となる線)をようやく上抜け、「買いサイン」が点灯したところです。

それは2年間続いた「三角もち合い」(上値を結んだ線が切り下がり、下値を結んだが切り上がることによって、2本の線が交差して三角形の形状になること)を上抜けたことを意味し、これから再び上昇相場が始まる可能性が高いと思われます。 

小型株物色の季節到来に加え、売買高の増加とチャートのフシ突破。こんな見え過ぎた買いサインどおりに、相場の神様が動いてくれるとはさすがに思っていません。しかし、ここから約3割高を目指すくらいの強い相場が到来する可能性は十分あると見ています。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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