小林製薬、紅麹の健康被害で問われる"らしさ" 訪日需要や海外拡大もヒット不在が課題だった

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コロナ禍を脱し、海外進出強化もこれからというタイミングで発生した、紅麹関連のトラブル。商品の品質面で会社の信頼が低下すれば、成長への”足かせ”となりかねない。

近年、日用品でかつてのような大ヒット商品が出せていないことも課題となっている。ブルーレットや芳香消臭剤「サワデー」などは、前社長の小林一雅会長が開発した商品だ。

現在の主力商品は、過去に開発したロングセラー商品が中心。会社がKPI(重要業績評価指標)として掲げる、売上高に占める新商品の4年間寄与率も、2016年の21.8%から2023年に11%まで落ち込んでいる。

「小林らしさ」はどうなる

2013年から舵取りを担う小林社長は、昨年4月に行った東洋経済のインタビューで「開発スピードが遅く新商品数が減少したことで、寄与率も低下してしまった。現在は、非常にユニークで新しいと思える商品は、市場を調査しながら開発に素早く取りかかるよう変更している」と語っていた。SNSの投稿からAIがトレンドを分析するシステムも導入し、商品開発体制を強化している。

小林製薬には全社員からアイデアを集め、企画会議で新商品を開発していく文化がある。ニッチな需要を拾いあげて、独特なネーミングとともに商品化してきた。

市場変化へスピーディーに対応すると同時に、徹底した品質管理が求められることは言うまでもない。今回の問題を受けて「小林らしさ」をどう守っていくのか。まずは健康被害への迅速な対応が求められている。

伊藤 退助 東洋経済 記者

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いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

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