小林製薬、紅麹の健康被害で問われる"らしさ" 訪日需要や海外拡大もヒット不在が課題だった

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影響は他メーカーへも波及している。小林製薬は製造する紅麹原料のうち8割超を、取引先52社に販売している。販売先の社名は明かしていないが、宝酒造や紀文食品など数社が商品の自主回収を発表した。

小林章浩社長は1971年生まれ。慶応大学経済学部を卒業後、東京花王販売入社。1998年に小林製薬に入社、創業家の6代目として2013年から現職(撮影:ヒラオカスタジオ)

機能性表示食品を取り扱う他社にも問い合わせが相次いでいる。ダイエット関連サプリ「カロリミット」などを展開するファンケルは、「メールやチャットなどを通じて、22日から26日まで2700件以上の問い合わせがあった。弊社は小林製薬の紅麹を使っていない。安全性も十分に検証しているとお客様に伝えている」(広報担当者)。

小林製薬の医薬品は日本でしか買えないものが多い。とくに内臓脂肪燃焼をうたう「ナイシトール」や更年期症状改善の「命の母」が売れている。コロナ禍以前の2019年のインバウンド売上高101億円はコロナ禍で消滅したが、2023年は約74億円まで回復している。

医薬品は中国に限らず韓国や東南アジアからも引き合いがあり、ドラッグストアでのインバウンド主力商材となっている。小林製薬の商品も独自性や効能が評価され、訪日客のお土産需要をとらえてきた。

利益率の高いヘルスケアを育成

小林製薬は2030年に向けて、海外でのヘルスケアを強化する方針を掲げる。2023年の海外売上高422億円のうちヘルスケアは20%だったが、2030年には同900億円の35%まで拡大させる目標。2025年1月には仙台の医薬品新棟が稼働予定で、肩こり治療薬「アンメルツ」などの海外販売に向けて生産能力増強を進めている最中だ。

小林製薬といえば、トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」や冷却シート「熱さまシート」といった日用品が知られる。しかし現在、国内の稼ぎ頭は一般用医薬品などのヘルスケアに変わりつつある。2023年度の国内売り上げ1304億円のうち、利益率の高いヘルスケアは670億円と半分超を占めている。

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