都内にある「巨大無人駅」東武大師前駅の裏側 乗車2分、全長1kmの路線の終点は「改札機なし」

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これだけ乗降が多い駅に駅員がいなくて安全面は大丈夫なのだろうか。大師前駅を管理する東武北千住駅管区副管区長の山口忠利西新井駅長は「警備会社の事務所があり、警備員が巡回している」と説明する。一方、西新井駅では「大師前から乗って来るときに改札がなかったんですけど……」と聞かれることがよくあるそうだ。

東武鉄道 西新井駅長
大師前駅のホームに立つ東武北千住駅管区副管区長の山口忠利西新井駅長 (記者撮影)

山口駅長は本社に勤務していたころ、年初には大師線の初詣客輸送の応援に駆けつけた。「隙間がないくらいの人で混雑するが、着物姿で破魔矢などを携えたお客さまを見ると正月らしい気分になる」と語る。普段の大師線は通勤通学をはじめ日常利用が多く「周辺の都市化が進んだいまでも1駅乗るだけで下町風情が感じられる」という。

西新井駅西口の再開発

複々線で通勤電車がひっきりなしに発着する西新井駅と、巨大空間にのんびりした空気が漂う大師前駅。両駅をわずか2分で結ぶ大師線にも変化が訪れている。これまで4色の8000系2両編成が日替わりで運行担当していたが、そのうち深緑の車体に白帯をまとったリバイバルカラーの編成が2024年3月で引退した。もともとは共通で運用する亀戸線沿線をアピールする目的で登場した「緑亀」だったが、大師線では「草だんご列車」として親しまれていた。

東武8000系 8568F 引退記念イベント横断幕
「草だんご列車」ラストランイベントで使用した横断幕(記者撮影)

西新井駅の西口は車両工場や日清紡の工場の跡地を活用した再開発で、大型の商業施設やマンションが建ち並ぶようになった。現在はトスカ西館や東武ストアが入っていた駅ビルが解体。駅前広場の整備が計画されている。

東武鉄道は添乗員付き自動運転(GoA3)の検証を実施、大師線で「2027年度以降の運用開始を目指し準備を加速する」考えだ。1972年8月15日、同社で初の自動改札機が設置されたのが西新井駅(西新井と大師前用)だった。大師線は東武線の中でも、いちばん未来を先取りしている路線と言えるのかもしれない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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