医薬品扱う専門会議は「利益相反」がゾロゾロ 自己申告を鵜呑み、ずさんなチェックの実態
医薬品や医療機器などの承認を行う国の専門家会議で、委員による不適切な“申告漏れ”が明るみに出た。
厚生労働省は6月5日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会の委員のうち8人が、薬事に関する企業の顧問などに就き、定期的に報酬を得ていたことを公表。薬事分科会規程に反するため、8人とも辞任届を提出することになった。
発端は今年3月に、一人の委員から企業の顧問などへの就任について報告があったこと。これを受けて厚労省が約300人の全委員に、企業との契約内容を再確認し、実態が判明した。委員の多くが新薬候補や製品に関するアドバイザー契約を結んでおり、中には企業の代表取締役を務める事例もあった。
寄付金・契約金の”過少申告”
調査の結果、契約関係にあった企業に関連する審議で、「有利になるような委員の発言はなかった」(医薬食品局)としているが、委員の認識不足と、当局の確認の甘さが露呈した格好だ。
また、薬事分科会の委員のうち24人が、審議品目の関連企業からの寄付金・契約金などの受領金額を過少申告していたことも判明。これは、4月下旬の朝日新聞の報道を受け、2014年度の審議会における委員の申告内容を、厚労省が企業に確認したことで明らかになった。
薬事分科会では、会議で審議される品目の製造販売業者と、競合品を作る最大3企業それぞれについて、委員が寄付金・契約金などの受領金額を4段階で申告する仕組みを設けている。その金額の多寡に応じて、審議や議決への参加が認められている。
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