キャサリン妃が「異例のがん公表」に至った経緯 直前には「写真加工」をめぐって厳しい意見も

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家族の写真を加工したことが判明した時、メディアはどこが「フェイク」だったのか詳細に分析して報道した。「皇太子夫妻の広報戦略の失敗」として今回の事件を追ってきた。

ガラリと変わったメディアの「キャサリン妃」評

しかし、動画発表を境にキャサリン妃は一夜にして、「がん患者という事実を自ら発表した勇気ある人」に様変わりした。

「ケイト(キャサリン妃の愛称)、私たちはあなたを支援します」(デイリー・ミラー紙)、「イギリスはキャサリン妃とその家族への共感で『1つになった』」(タイムズ紙)、「お大事に」(デイリー・メール紙)。王室支持のデイリー・エクスプレスは王室の「希望」はウィリアム皇太子夫妻にあるという。一家は「このばらばらとなった世界に平和と調和をもたらす存在だ」。

BBCは親ががん患者となった時、小さな子供にどうやってこれを伝えるのか、パートナーや友人、隣人らがどのような支援をすれば喜ばれるのかなどをウェブサイトやポッドキャストの番組の中で紹介した。

冷静になって考えてみると、王室の主要メンバーの中で国王と皇太子妃ががん患者となり、十全には公務を行えない現状は王室の将来に懸念が出る状況だ。左派系ガーディアン紙がいうように、王室は「最悪の年」を迎えているのかもしれない。

イギリスは3月末から4月中旬まで復活祭の休暇期間に入る。皇太子一家にはゆっくりと水入らずの時間を過ごしてほしいものだ。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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