自律神経の乱れが整う「音読」意識したい4つの点 コロナ禍で声出す機会が減少、疲れやすい体に

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さて、では具体的に何を意識して文章を音読すればいいのでしょうか? これには大きく4つのコツがあります。

音読の4つのコツ

① まず、音読する前に、深呼吸をする

音読の前に、深い呼吸でリラックスした状態をつくりましょう。コツは鼻から3秒吸い、口から6秒吐く「1:2」のリズムです。これを1分程度行うことで、副交感神経の働きが高まります。背筋を伸ばして、上を向いて行うとさらに効果的です。ぜひ音読する前にやってみましょう。

② ゆっくり読む

次はいよいよ実際に音読していきます。3〜5分程度で読み終わるような文章を用意して、普段よりもゆっくりと読みましょう。そうすることで、自然と呼吸が深くなり、リラックス状態をつくりやすくなります。

最初のうちは、つっかえたり、読み間違えたりしてもかまいません。まずは声を出すことや、口を動かすこと自体を楽しんでいきましょう。まるで歌うように、言葉にリズムが出るとなおいいでしょう。

③ 口角を上げて大きな声で読む

音読の際に意識してほしいのが、口の形です。口角を上げて読むよう意識しましょう。少し口角を上げるだけでも、副交感神経が刺激されます。口はできるだけ大きく開けて、一音一音はっきりと発音しましょう。少し大げさなくらいがちょうどいいです。また、周囲の迷惑にならない範囲で、できるだけ声も大きく出しましょう。

④ 感情を込めて読む

自律神経を整えるための音読においては、泣ける話、クスッと笑える話、恋でドキドキする話など、できるだけいろいろな感情を込めやすい文が「いい文」です。ぜひ自分なりの感情を込めて読んでみてください。声や呼吸に自然な抑揚がつくだけでなく、ストレス値の減少にも効果的です。

カラオケ好きの人ならわかるかもしれませんが、「歌ってスッキリした」という感覚は、これらの要素を自然と満たしているからなのです。

音読の習慣で、身体を整える

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いかがでしょうか?コロナ渦を経て、以前より疲れを感じやすくなった人は多いように思います。コロナで「声を出す」機会がぱったりと途絶えてしまったことで、自分でも気づかないうちに、後戻りできないほど自律神経のバランスを崩してしまった人が増えたのでしょう。

もし、「コロナ明けからずっと調子が悪い」「こんなに疲れやすかったっけ?」と感じているのなら、その不調は自律神経の乱れが原因の可能性が高いです。

ぜひこの機会に、音読の習慣を試してみてください。きっと元気だった頃の自分を取り戻せるはずです。

小林 弘幸 順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

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こばやし ひろゆき / Hiroyuki Kobayashi

1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム刊)などの著書のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBSテレビ)などメディア出演も多数。

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