WR-Vの価格をライバルに合わせたホンダの苦境 高価格化したヴェゼルの穴を埋めるも課題あり
最近、発表された新型車の中で、特に注目を集めている車種がホンダ「WR-V」だ。
全長4325mm×全幅1790mmのコンパクトSUVで、直列4気筒1.5リッターエンジンを搭載する。今やSUVは新車販売の30~40%を占める人気のカテゴリーだから、WR-Vに対する関心も高い。
ここで疑問に思うのは、ホンダ「ヴェゼル」との関係だろう。
ヴェゼルのボディサイズは全長4330mm×全幅1790mmで、WR-Vとほぼ等しい。ホンダは同サイズのコンパクトSUVを2車種、用意することになる。
しかし、両車にはきちんとした棲み分けがある。WR-Vが、ヴェゼルのガソリン車(ICE車)の代わりに投入されたからだ。
ハイブリッドを主力として価格が大幅アップ
過去を振り返ると、先代(初代)ヴェゼルはバリエーションを幅広くそろえて、ガソリン車のグレードも豊富だった。ベーシックなG(最終型になる2WDの価格は211万3426円)、中級のX(同220万5093円)、上級のRS(同252万833円)を選択できた。
ところが2021年に発売された現行ヴェゼルは、ハイブリッドの「e:HEV」を主力として、ガソリン車はベーシックなGのみとなった。e:HEVは設計の新しいハイブリッドシステムで、エンジンは主に発電を受け持ち、駆動はモーターが中心に行う。
加速が滑らかでノイズも小さく、低燃費に加えて走行性能や快適性も優れている。この特徴を訴求するため、現行ヴェゼルはガソリン車を減らして、e:HEVを中心とするグレード構成に変更したのだ。
発売が開始されると、販売比率はe:HEVが90%を上まわり、ガソリン車のGはわずか6%にとどまった。開発者は発売当初、「e:HEVが75%でGは25%前後だろう」と予想したが、それ以上にe:HEVが選ばれ、ガソリン車は存在感を失った。その結果、ヴェゼルの売れ筋価格帯が大幅に上昇した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら