WR-Vの価格をライバルに合わせたホンダの苦境 高価格化したヴェゼルの穴を埋めるも課題あり

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人気のe:HEV・Z・2WDは、発売時点でも価格が289万8500円と高く、今は300万1900円に値上げされている。ガソリン車のG・2WDは、当初から変わらず今も239万9100円だが、前述の通り販売比率は約6%だから、結果的に売れ筋価格帯が300万円前後に上がったのだ。

現行ヴェゼルのe:HEV・Z(写真:本田技研工業)
現行ヴェゼルのe:HEV・Z(写真:本田技研工業)

この現行ヴェゼルに失望したのが、先代ヴェゼルのガソリン車ユーザーだ。先代から現行型へ乗り換えると、出費が大幅に増える。

また、「フィット」からヴェゼルへのアップサイジングや、子育てを終えて「フリード」や「ステップワゴン」から乗り換えるときも、e:HEVでは割高感が生じる。

販売計画に達しないヴェゼルの販売台数

この影響で本来、現行ヴェゼルのターゲットであった先代ヴェゼルやフィットのユーザーが、トヨタ「ヤリスクロス」「ライズ」など、安価なガソリン車を用意するライバル車を購入するようになった。

そのために、現行ヴェゼルの売れ行きは伸び悩む。先代ヴェゼルは2013年に発売され、約6年を経過した2019年でも5万5886台を登録したが、現行型は2021年に登場しながら2022年は5万736台、2023年も5万9187台に留まった。

ライズ、Xグレード(写真:トヨタ自動車)
ライズ、Xグレード(写真:トヨタ自動車)

コロナ禍の影響で納車遅延が著しい車種であったが、それを差し引いても、発売直後の新型車としては元気がない。

2021年に現行ヴェゼルが発売されたとき、メーカーが発表した販売計画台数は月間5000台だった。1年間にすると6万台だから、現行ヴェゼルは発売直後から達していない。

「販売計画台数」とは、発売から終売までの平均台数だ。モデル末期に売れ行きを下げることを考えると、発売直後は販売計画台数を大きく超えねばならず、現行ヴェゼルは明らかに達成できないことになってしまう。そこで、WR-Vを投入することになったわけだ。

もともとASEAN向けとして開発されたためインドからの輸入となる(写真:本田技研工業)

ボディサイズは、前述のように現行ヴェゼルと同程度だが、エンジンは1.5リッターガソリンエンジン搭載車のみでe:HEVの設定はなく、駆動方式も2WDだけだ。

インド工場で生産する輸入車でもあるから、受発注の効率を考えてグレードは3種類に抑えられ、生産ラインで装着するメーカーオプションも用意されない。外装色も5色に絞った。

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