"日本人女性"も巡礼「チベット仏教聖地」驚く世界 標高4000m「天空の村」で花開いた"独自の芸術"

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インドの旅人の間で有名な「世界一危険な道」には、道路状況だけでなく、こんな危険も孕んでいたようだ。

膨れ上がったペットボトルを見ながら、二人で軽く笑った。そして、醤油に辛いタレを少し混ぜ、美味しいモモを堪能した。

カザの暮らしを目撃し、旅の醍醐味を実感する

翌朝、二人でカザの街を散策した。

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薄暗い時刻に到着した昨日に比べると、街は若干の活気を帯びている。街の中心に人だかりができており、その中心でマジックをする男性の姿を見かけた。

他にも、サイコロを振り、出目によってお金を賭けているおじさんたちもいた。

厳しい自然環境の中、人々は質素な暮らしだけをしていると思っていたが、こうやって日常を楽しむ姿を見ると少しだけ温かい気持ちになる。

よくよく考えてみれば、人間はどんな環境下でも、「遊び、楽しむ」ということを忘れないはず。ネットでスピティを調べたときに出てくる情報は、勤勉なチベット僧侶や厳しい大自然などの写真ばかりだった。

しかし、自分の足でここまできてみると、そこにはごくごく普通の生活がある。

そんな些細なことを知るのが、旅をする醍醐味の一つでもあるのだ。

マジックで「カザ」の人々を楽しませる大道芸人(写真:筆者撮影)
お金を賭け「サイコロ博打」を楽しむ人々(写真:筆者撮影)

それから二人で、街を見下ろす崖の上に聳えるチベット寺院に向かった。急勾配の道を登るのは思った以上に大変で、遠くから見ると物凄く近くに見えた寺院は、歩くと、数キロもの距離がある。

GPSアプリを見ると、すでに標高4000mを超えていた。全身が鉛のように重い。1週間以上スピティにいるカナさんは、すでに酸素の少なさに適応しているようで、ぴょんぴょんと子鹿のように猛スピードで崖の道を進む。

ちなみに、彼女は世界中の山に登った「山ガール」でもある。俺は、46歳の老体に鞭を打ち、強い男を装いながら、何とか頂上の寺院にたどり着いた。

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