トヨタ、3カ月でつまずいた「目玉人事」 緊急会見で豊田章男社長は何を語ったか

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役員逮捕の翌日、トヨタの東京本社で緊急会見を開いた豊田章男社長(撮影:今井康一)

ジュリー・ハンプが逮捕されたーー。警視庁から連絡を受けた人事担当役員から豊田章男社長の耳に入ったのは、6月18日の13時ごろだった。

翌19日の夕刻、緊急会見に臨んだ豊田社長は冒頭に一礼した後、「このたびは弊社の常務役員の件で世間をお騒がせすることになり、誠に申し訳なく思っております。ジュリー・ハンプは、私にとっても、トヨタにとっても、かけがえのない大切な仲間でございます。今の私どもにできることは、仲間を信じて、当局の捜査に全面的にご協力することだと思っております。そして、今後の捜査を通じて、法を犯す意図がなかったということが明らかにされることを信じております」と述べた。

4月に役員になったばかり

ハンプ容疑者は今年4月にトヨタで初の女性役員となったばかり。さらなるグローバル化を進めるため、ダイバーシティ(多様化)の促進を図るという方針の1つの目玉が彼女の人事だった。だが、国際郵便で麻薬成分「オキシコドン」を含む錠剤を密輸した疑いから、18日に逮捕された。

トヨタ初の女性役員に就いたばかりだったハンプ容疑者。逮捕前日には記者懇談会に出ていたが・・・

オキシコドンは医師の処方のもとでがん患者の鎮痛薬などに使用される。米国でも処方薬としては使われており、診断書を添えて許可を得れば、本人が携帯して日本へ持ち込むことは可能だ。ただ、郵送は許されておらず、ハンプ容疑者は持ち込みの許可も得ていなかった。

豊田社長は逮捕の知らせを受けた時、「直属の部下である役員も従業員もいわば私にとっては子供のような存在。子供を守るのは親の責任でもあるし、迷惑をかけたら謝るのも親の責任。どうすればハンプ氏の支えになるのかを最初のアクションとして申し上げた」と語った。

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