トヨタ、3カ月でつまずいた「目玉人事」 緊急会見で豊田章男社長は何を語ったか

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グループの従業員34万人を抱えるトヨタ。19日の緊急会見で目立ったのは、豊田社長が「子供」を信じる姿勢だ。ハンプ容疑者について、「部下とのコミュニケーション能力や、日本のトヨタや日本に溶け込もうと努力していた」と評価した。一方で、「海外拠点に日本人社員が赴任することはあったが、日本国籍でない役員が日本に常駐するのは初めてのケースだった。ハンプ氏をサポートする準備が、会社として多少不足していたのかなと反省している」とも述べた。

トヨタは接見した弁護士を通じてハンプ容疑者の話をおそらく把握していると思われるが、「証言内容や接見内容は捜査にかかわるので控える」としており、何をもって豊田社長が、 「(今後の捜査で)法を犯す意図はなかったということが明らかにされると信じている」と話しているのかは分からない。

逮捕翌日に会見を開いたワケ

実際、「現時点で、私どもが把握している事実は限られており、十分なご説明ができるかわかりませんが、まずは私自身、自分の言葉でご説明することが大切だと考え、こうした場を急きょ設けさせていただきました」と豊田社長が冒頭に語った言葉通り、逮捕翌日とあっては、具体的な説明が難しい。

4月に開いたトヨタの新任役員の会見。

このため、ハンプ容疑者がオキシコドンを「鎮痛剤」として使用する必要があったのか、今後の処遇などの質問に対しては、「今は捜査に全面的に協力する」「法を犯す意図がなかったということが明らかにされることを信じている」と繰り返すしかなかった。それでも、早々に社長自らが報道陣の前で説明したのは、2010年の米国でのリコール問題の際、社長による説明が遅れたことで批判を招いた反省があるからだろう。

会見中に豊田社長が繰り返し、力を込めたのは「今後も真のグローバル企業になるため、国籍や性別に関係なく適材適所の人材配置を進めていく」というフレーズだった。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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