トヨタが発行、"元本保証"の新型株は是か非か 物議を醸す前例のない種類株

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5月の決算説明会で「持続的成長に向けて挑戦を続ける」と語った豊田章男社長(撮影:尾形 文繁)

第7号議案──。トヨタ自動車が6月16日に開催する株主総会で、最も神経をとがらせる議案だ。

「AA型」と名付けた種類株を発行する議案で、定款変更を伴うため、株主の3分の2の賛成が必要になる。招集通知では合計七つの議案に関する26ページの記載のうち13ページが第7号議案に費やされた。それだけでなく、「補足説明」という、A4サイズの資料までつける念の入れようだ

種類株とは、普通株と異なる権利を与えられた株式のこと。優先的に配当を得られる優先株や、特別な議決権を持つ黄金株もあるが、トヨタが発行するAA型は、これまでにないさまざまな特徴を持っている。

普通株と同等の議決権を付与

5年間は売却できないものの、その後は発行価格での買い戻しをトヨタに請求できる権利があり、事実上の“元本保証”だ。普通株への転換も可能という、転換社債に似た側面も持つ。ただ、社債とは違い、普通株と同等の議決権を付与されているのが、その特徴といえる。

AA型は最大で発行済み株式数の5%未満(1億5000万株)の発行を予定。現在の株価を基にした概算の調達総額は約1.5兆円で、その使途は「中長期的な研究開発用の資金」としている。自動運転や燃料電池車など自動車産業の枠を超えて競争領域が広がりつつある。中でもトヨタが強調するのは、次世代技術、特に人工知能(AI)の研究開発投資の必要性だ。

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