櫻井よしこ氏「核は使わない」から「使う時代に」 橋下徹氏は「集団安全保障体制」の必要性を強調

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櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長):映像を見ると、咳などはしていたが、すごく力強い言葉、声の調子だった。高齢批判や物忘れの激しさ、知能の衰えへの批判を相当恐れていたのだと思う。バイデン氏は4年前の公約では「アメリカの分断を埋める」と言っていた。でも、今回の一般教書演説は違った。本来はアメリカのどの分野のどの階層の人にも届くような、アメリカの国としてのメッセージを伝えなければいけないものなのに、完全に自分の選挙キャンペーンになってしまっていた。トランプという名前は出さずに「私の前任者は」と何回も言って、こんな悪いことをした、こんなことにも反対した、そしてこういう問題になっているのだと。

アメリカのメディアの報道を見ると、やはりバイデン氏は自分の選挙キャンペーンをやったに過ぎず、アメリカの統合とか、アメリカ全体の国益を考えたものではないという批判が見受けられる。私もそのように感じる。それは決してアメリカという大国にとって健全なことではない。バイデン氏がやったことは、様々なことが裏目に出ている面がある。(不法)移民問題もそうだ。核の抑止にも失敗した。(ロシアの)プーチン大統領の核の脅しに屈して、ウクライナを本格的に助けることを未だにしていない。私はバイデン大統領のスピーチをあまり評価していない。 

ウクライナ政策の行方

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):日本の政治家には本当に2年前のことを振り返ってもらいたい。反省も含めて考え直してもらいたい。いわゆる戦争状態になったときに勢いや精神論だけでは絶対ダメだ。ウクライナを支援するというのはいいが、トランプ前大統領が当選してアメリカがウクライナ支援から引いた場合にも、日本が本当に覚悟を持ってヨーロッパと日本とでウクライナを絶対勝たせるのだという覚悟を持つということならば、武器も供与して、それなりの金を出すという、そこまでの覚悟を持ってのことであれば、ウクライナ支援、支援って、威勢よく言ってもいい。

でも、そこまでできない日本にあって、もしアメリカが引いてしまったら、日本は今まで言ってきたことはどうなるのか、となる。政治家は「(ウクライナを)支援する」と言ったのであれば、本気で武器や金まで出さなければいけない。それができないのだったら威勢のいいことはやはり言うのはやめなければいけない。 

(写真:FNNプライムオンライン)

櫻井氏:いま「覚悟」とおっしゃったが大事なことだ。どこまでの覚悟があるかが日本に問われている。トランプ氏が大統領に再選されれば、日本には非常に厳しい状況が生まれると考えなければいけない。今までの戦後のアメリカに頼りきりの状況というのはもう続かない。これは明白だ。その時に日本国を守るのにどういうことをするか、いま私たちは異次元の世界に立たされている。岸田首相がアメリカに行って、二つ言ってほしい。

一つは日本国の軍事力を強化するということ。5年間43兆円を有効に使うということと同時に、私たちは当事者であるという覚悟をきちんと言わないといけない。今まではアメリカがなんとなくやってくれるだろうとか、アメリカに頼っていればなんとかなる、アメリカがいなくなったらどうしようというような次元だったが、そうではない。日本は当事者としての自覚を持っているということをまず言うべきだ。そこで、本当に異次元の覚悟が問われる。覚悟があるかないか、というより、覚悟を持たなければ、これからの日本国は生き延びていけないというところに私たちは立たされているという危機感を持たなければいけない。 

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