フジテレビ、「決断」は浮上に繋がるのか 米国の新ライバルに番組を提供

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過去に放送した番組の提供については、他社も静観している。ネットフリックスはテレビの視聴者を奪うライバルにもなりうる。テレビ局が持つ番組を提供するに値するだけの取引金額の提示など、いい条件を示されない限り、自分たちの大事な番組をライバルに渡す必要性は低い。ネット上の有料配信であれば、フジも「フジテレビオンデマンド」を手掛けており、視聴者が見たい番組を好きな時間に見ることは可能だ。

視聴率低迷の打開策なるか

民放でいち早くネットフリックス向けコンテンツを制作することにした背景として考えられるのが、フジの視聴率低迷だ。2014年度通期の視聴率は、全時間帯で日本テレビ、テレビ朝日に次いで3位。4位のTBSテレビとの差は縮小傾向にある。

ネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEO。既存のテレビよりも、個人の趣味や時間に合わせた自社のようなサービスが、これからは支持されるようになると訴える(撮影:尾形文繁)

これまで強みとしてきた若年層についても、2014年度個人視聴率では、ティーン層(13〜19歳男女)、M1・F1(20〜34歳男女)とも全時間帯でトップを獲得したのは日本テレビだった。

フジ・メディア・ホールディングス2014年度の決算説明会で日枝久会長は、「我慢の時だ。何らかのきっかけで一気に好転するのが視聴率。ただし“魔法の杖”はない。亀山千広フジテレビ社長を先頭に危機意識を持って視聴率改善に取り組んでいる」と説いていた。

ネットフリックスとの契約は話題性も高く、うまくいけばフジテレビの番組を再評価してもらえるきっかけにもなる――そんな思いもあるのかもしれない。

好転のきっかけをつかめるかどうか。今秋のネットフリックス上陸が待たれる。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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