会社四季報元編集長が語る「有望銘柄発掘の近道」 新NISA開始から2カ月、日経平均は最高値更新!

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日経平均株価が史上最高値を更新するなど市場は盛り上がっているが、すべての会社が好調なわけではない。

中国の景気低迷は顕著であり、資生堂など同国を軸に事業を展開する会社は業績、株価ともに芳しくない。他方、トヨタ自動車コマツなど米国で事業が好調な会社は冴えている。現地のインフレや円安が業績を後押ししているのも要因だ。

新NISA関連としては、個人投資家に認知されているBtoCビジネスを展開する会社は株が買われやすく、上昇は継続するだろう。

防衛関連銘柄は思惑で動いていたが、業績に反映され始めるのは今後のこと。NECは200億円規模の設備投資を行い、魚群探知機や船舶レーダーを取り扱う古野電気も売り上げ増といわれているが、本格的に動くのはこれからだ。

チェックしておきたい「DOE」

東証の要請もあり株主への配当を高める会社が増える中、「DOE(自己資本配当率)」はチェックしておきたい経営指標だ。

これは、自己資本に対して企業がどの程度の利益配分を行っているかを示すもので、例えば、自己資本100億円に対して配当金総額が10億円ならDOEは10%。業績に合わせた配当性向より変動が小さく安定的な指標として捉えやすいことから、発表する会社が増えている。

DOEを分解すると配当性向×自己資本利益率(ROE)となり、前者の目安は30%で後者は8%なので、DOEは2.4%が基準。日本マクドナルドHDはちょうどこの水準だ。四季報の新春号ではDOEが特集されていたので保存しておくとよいと思う。

仮に「2.5%を目指す」と明言している場合、現在の配当性向やROEの水準からして妥当性はあるのか確かめればよい。こういった視点からも、投資家から買われやすい銘柄を見つけることができるだろう。

(構成:ライター 大正谷正晴)

山本 隆行 『会社四季報』元編集長

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やまもと・たかゆき / Takayuki Yamamoto

早稲田大学法学部卒。『週刊東洋経済』編集部に通算10年所属していたこともあるが、記者、編集者としての人生の大半を切った張ったのマーケット中心にささげてきた。『オール投資』『会社四季報』編集長、四季報オンライン編集長を歴任。著書に『伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい』。

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