「脱原発」か「25%減」か 迫られる究極の選択


 再生エネの拡大に本腰を入れ、独自の排出量取引市場を持つEUは、排出規制の強化を狙う。京都議定書で削減を義務づけられていない新興国・途上国は、議定書の単純延長を望んでいる。温暖化ガス排出を急増させている中国も当然、規制には後ろ向きだ。議定書を離脱している米国は沈黙を保っている。

そんな中で、日本は先進国のみが削減義務を負う議定書の単純延長に反対し、米中など京都不参加の主要排出国に参加を義務づける枠組み作りを目指す。ただ、原発に大きく依存した温暖化対策の前提が崩れつつある日本が、国際社会で説得力のある主張を展開できるのか。

冷静に考えて、「脱原発」を進めるのであれば、20年に25%削減を達成するのは不可能だろう。となると、温暖化対策の再構築が必要だ。21世紀政策研の澤氏は、「鳩山さんがトップダウンで発言した25%削減という数字は、取り下げてもいいのではないか」と言う。

本気で「脱原発」を進めるのか、それとも環境政策との整合性を取るため、原発を存続させるのか。日本は、この節電の夏に、将来に向けた大きな決断を迫られる。

(シニアライター:柿沼茂喜 =週刊東洋経済2011年7月16日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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