ネット広告を荒らす「悪意」に社会は勝てるのか 広告市場は過去最高でもメディアが暗い理由

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特に「雑誌デジタル広告費」は注目だった。紙媒体の雑誌広告費の減少を補う勢いが出てきたのだ。特にコロナ禍でガクンと雑誌広告が減少した一方で雑誌デジタルは大きく伸び、2021年には紙媒体の収入源を補って、紙とデジタルを合計すると雑誌全体では広告収入がプラスに転じている。

2021年は雑誌デジタルの成長により、雑誌全体の広告収入が上向いた(図版:筆者作成)

「紙とデジタルの両翼」になるはずが…

マス媒体はデジタルを活用することで、広告収入減少をカバーできるはずだからDXを進めるべきとの論がメディア業界にはあった。雑誌メディアはその成功例と言えた。新聞デジタルは2022年でもまだ221億円で、紙の新聞の広告収入3697億円の10分の1にも満たない。だが雑誌デジタルは2022年には610億円に達し、紙の雑誌は1140億円に落ちたものの、このまま進めばデジタルと紙が雑誌広告の両翼となる気配だった。

ところが2023年の雑誌デジタルは611億円とほぼ横ばいだった。幸い、紙の雑誌広告が1163億円と20億円以上回復したので合計では上がった。だが、「紙とデジタルの両翼」になるはずが違ってきたように見える。

雑誌デジタルは、インターネット広告の伸び率と揃っていたが横ばいになってしまった(図版:筆者作成)

そして、新聞デジタルは208億円と前年から下がってしまった。紙の新聞広告も例年通り下がって3512億円だったので、両方とも落ちた。新聞も雑誌に倣ってデジタルを伸ばせばいいと多くの人が思い描いていただろう。

だが雑誌デジタルは横ばい、新聞デジタルは下がった。

インターネット広告費が順調に伸びている中、新聞と雑誌のデジタル版は一緒に伸びるはずだ。それなのに下がったのは、大異変と言っていい。いったい何が起こっているのか。

ネット広告を今、悪意が侵しはじめている。その典型が、MFAサイトだ。Made For Advertisingの略で、文字通り「広告収入のために作られたサイト」のこと。

MFAは、コンテンツとして、例えばYouTubeの動画を転載し、その周りを広告枠が埋め尽くして安易に広告収入を得ようとする。真っ当な事業者ではなく、得体の知れない何者かが運営する、怪しいサイトだ。ただ、コンテンツ自体は危険なものでもなく、一見すると法には触れない。

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