そうして一般の方が作家デビューするようになって、それが今でも続いています。
これまで延べ500人ほどの方が作家になっている。その中には中高生や主婦もいらっしゃれば、さまざまな職業の方がいらっしゃいます。また、現在ではより大人の女性向けの「Berry's Cafe」、また「ノベマ!」など、ターゲットを分けた投稿サイトも開発・運営しています。
私は作家さんと食事をする機会もありますが、作家さんたちはみなさん、作家になるなんて考えてもいなかった人がほとんど。連絡があったときはびっくりした、という感じで。
――2023年末に映画が公開され、大ヒットした『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の作者さんも、元は高校教員で、現役の中高生に近い人です。作家と読者の距離の近さが、スターツ出版の書籍の人気を支えているような気がします。
菊地:彼女は学校の先生で、授業で戦争の話をしても、生徒がピンとこないことに危機感を持ってあの作品を書いたといいます。そこで書いたものが、うちの編集者の目に留まった。
――作家さんが、読者に近い目線で作品を書いていることが、ヒットの理由なのかもしれませんね。
菊地:そうですね。スターツ出版の本が売れている大きな理由は、読者に寄り添っているからです。一般人である書き手と読者の方が二人三脚でシナリオを作ったのが原点だったわけで、そこで生まれた作品の共感性は高いわけです。それは、ケータイ小説の時代から今に至るまで、同じですよね。
書籍作りは「チーム」で
――作品作りで気を付けていることはありますか?
菊地:基本的にチームで動くことを意識しています。編集チームと営業チーム、投稿サイトのチームの全10人ぐらいで一つのレーベルを担当しています。もちろん編集作業は一人が行うのですが、基本的に作品はチーム全員が読んで、あれやこれや意見を言いますし、表紙デザインの決定もみんなでわいわい言いながら、良いところ、悪いところを言い合いますね。
その作品に対して、それぞれの視点から見て思うことがあると思うので、チームで行うことによって、より良いものに近づくんじゃないかなと。
――ある出版社の話で、インフルエンサーのところへ出版の打診をしに行ったところ、同じ部署の隣の机の人が打診をかけていた……なんてことをよく耳にします。
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