「働かない若者」は本当に日本だけの現象なのか? 日本とアメリカにおける「静かな退職」の比較

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ちなみに、海外の研究仲間に、日本人の「指示待ち気質」を説明することは至難の業だ。むろん僕の拙い英語力のせいもあるわけだが、たっぷり考える時間があったとしても、やはり難しい。

「Waiting for instruction from their supervisors」

「Preferring being controlled on their jobs」

というと、いったんはわかってくれることが多い。ただし、(少なくとも僕と交流のあるアメリカ在住の研究者たちは)それを主に低賃金労働者や高齢者のことだと思うようだ。

だから、「いやいや、大卒の若者のことですよ」と、改めて説明するわけだが、ますます「Why?」「I don’t get it !」の集中放火にあい、撃沈することに……。

なので、ここはせめて日本人の皆さんと共有・共感・共鳴させていただこう。日本における「静かな退職」現象は、新しくもなんともない、「今そこにある危機」という状態だ。

日本では本当に辞めてしまう

ただし、アメリカと日本のQuiet Quitterが大きく異なる点が2つある。1つ目は「Actively disengaged」というところ。「積極的にハッスルしないことを主張する」なんて、いかにもアメリカ人らしい印象だが、日本の若者はむしろ逆だ。一定の意欲を見せつつ、与えられた仕事をそつなくこなし、それ以上の目立つ行動はしない、というのがいい子症候群であり、だからこそ先輩世代を困惑させる。

事実、「Q12」の国際比較を見ても、「Actively disengaged」の割合に大きな日米差はなく、むしろ日本が際立っているのは「Engaged」の低さと「Not engaged」の高さだ。

2つ目は日本の場合、本当に若者が辞めてしまうことだ。アメリカにおけるハッスル文化からの逃避は、別に退職まではしない。にもかかわらず、日本の若者は会社そのものに見切りをつけてしまうなんて、アメリカ人もびっくりの大胆行動だ。

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