韓国"世界遺産登録阻止外交"に理はあるか 「明治日本の産業革命遺産」の運命は?

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そもそも日本が申請した「明治日本産業革命遺産」の対象年代は、日本にペリーが来航した1853年からロンドンで日英博覧会が開催された1910年まで、としている。ICOMOSが評価したのは、このわずか半世紀で日本が欧米列強と肩を並べるようになった点だ。韓国が「強制徴用があった」と主張する1940年代とは時代が異なる。

しかしICOMOSは5月15日、日本政府に「歴史の全貌を理解できるような解釈を加える準備をするように」と韓国と妥協することを勧告。韓国はそれに乗じて「明治日本の産業革命遺産」に「強制徴用」を組み込もうと、国を挙げて外交に勤しんでいる。

尹外相は6月12日に第39回世界遺産委員会の議長国であるドイツを訪問し、フランク=ヴァルダ―・シュタインマイヤー外相と懇談。韓国が登録に反対する姿勢を説明し、「協力」を求めた。この時、尹外相はナチス強制労働資料館に立ち寄ったが、明らかに日本が申請している世界遺産登録候補地でナチスと同じ非人道的行為が行われたことを印象づけようとする戦術だ。

そして13日には世界遺産委員会の副議長国であるクロアチアを訪問し、ヴェスナ・プシッチ第一副首相兼外務・欧州問題大臣に「理解」を求めている。14日はニューヨークで、マレーシアのアニファ・アマン外相にも働きかけた。国会議員たちも3つの代表団を結成し、ペルーやコロンビア、カザフスタンなどを訪問して反対するように求めている。

韓国は、まさに政府、議会が一体となって、世界遺産登録阻止運動を展開した。

自民党は決議文を採択したものの・・・

このような韓国の積極的な動きに対して、日本側はどのような対応をしたのだろうか。

もちろん、何もしなかったわけではない。自民党は5月28日午前、内閣部会、外交部会、文部科学部会、日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会、外交・経済連携本部国際情報検討委員会による合同部会を開き、「『明治日本の産業革命遺産』の世界遺産登録実現を求める決議」を全会一致で採択し、日本政府に以下の3点を訴えた。

(1)「世界遺産委員会が、ICOMOS勧告を尊重し、技術的・専門的見地から審議し、勧告どおりに世界遺産一覧表への『記載』を決定することを期待している」旨の日本の立場を、世界遺産委員会委員国に対し明確に伝えること。

(2)世界遺産委員会委員国首脳などハイレベルに対し、内閣府、外務省、文部科学省の政務三役などを通じて、理解と協力を求めること。

(3)あわせて、外交ルートなど、あらゆる世界遺産委員会委員国とのつながりを活用して理解と協力を求めること。

ただし決議文には韓国の国名が欠落している。主導的に動くべき立場にある岸田文雄外相は安保法制等で国会対応に追われており、関係国に出向いて理解を求めることは難しい。

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