韓国"世界遺産登録阻止外交"に理はあるか 「明治日本の産業革命遺産」の運命は?
2015年は日韓国交正常化50周年。そして6月22日は日韓基本条約の調印記念日で、日韓両国で記念式典が予定されている。21日には韓国の尹炳世外相が4年ぶりに来日するが、根深く残る歴史問題とそれに絡む諸問題が常に両国関係に影を落としている。
そのひとつが世界遺産登録問題だ。6月28日から7月8日まで、ドイツのボンで第39回世界遺産委員会が開催されるが、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が5月4日に登録推薦した「明治日本の産業革命遺産」が暗礁に乗り上げている。委員国である韓国が執拗に反対運動を繰り広げ、他の委員国に働きかけているのだ。
韓国国会は日本を糾弾する決議を可決
「明治日本の産業革命遺産」は、吉田松陰が主催し、高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤博文など逸材を輩出した松下村塾、官営八幡製鉄所や三菱長崎 造船所、「軍艦島」として知られる端島炭鉱など23施設を含む。いずれも近代化を目指して「坂の上」を駆け上がろうとした日本の原動力となったもので、こ れら殖産興業政策はアジア諸国の近代化の手本となった。登録推薦はICOMOSがその歴史的意義を認めたことになる。
これについて韓国は、登録申請された23施設のうち三菱長崎造船所など7施設で5万7900名の朝鮮人労働者が徴用され、多数の犠牲者を出したと主張。羅卿瑗外交統一委員長はすぐさま各委員国に登録反対を呼び掛ける書簡を送付し、韓国国会は5月12日に日本を糾弾する決議を可決した。
さらに朴槿惠大統領は5月20日、訪韓したイリナ・バコヴァUNESCO事務局長に「(日本が世界遺産登録申請したのは)世界遺産条約の精神に背き、日韓の不要な対立を招く」と日本を批判。その前日にも尹炳世外相が「日本は強制労働の歴史を無視している」とバコヴァ氏に訴えている。
しかし、本当にそうなのだろうか。
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