お笑い芸人も騒然「吉本鎖国」騒動はなぜ起きたか 東京のライブシーンから配信事情まで分析

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また、かが屋・加賀は前述の記事で「(筆者注:吉本の劇場に出演すると)お決まりの流れがあるとか、各コンビのお決まりのネタとか、そういうものの『ここも準備できるよ』みたいなことがたくさん見られる」と語っており、自身のスキルアップにつながったと感謝している。

一方で、吉本の芸人が影響を受けたケースもある。2019年に元ゾフィー・上田航平(グレープカンパニー)が、ハナコ・秋山寛貴(ワタナベエンターテインメント)、かが屋・加賀、ザ・マミィ林田洋平(人力舎)とコントユニット「コント村」を結成。コント番組の立ち上げに至るなど話題となった。

これに触発された空気階段・水川かたまりが、同じ吉本所属の男性ブランコ・平井まさあき、そいつどいつ・松本竹馬、サンシャイン・坂田光、やさしいズ・タイと「コント犬」を立ち上げ、今年2月で6回目となる公演を成功させている。

直近では、昨年の「M-1グランプリ」で優勝・準優勝となった令和ロマンとヤーレンズ(ケイダッシュステージ)の関係性も記憶に新しい。2022年のM-1敗者復活戦で苦汁を舐めた2組は、ヤーレンズ・楢原真樹が声を掛ける形で翌年から新ネタ3本をおろす月1回のツーマンライブを開催。ここで切磋琢磨し、最高の結果を残している。

吉本芸人ファーストの狙い

東京にお笑い養成所が次々と設立され、芸人を目指す絶対数が爆発的に増え、個々で戦うテレビの時代は終焉を迎えた。また大きな賞レースが定着したことでライブシーンも活性化し、いい意味でお互いを刺激し合うようになるのは自然な流れだろう。

今年に入って吉本興業が若手主体の劇場で“吉本芸人ファースト”にシフトしたのは、あくまでも所属芸人へのチャンスを増やすためであり、むしろこれまでが寛容すぎたぐらいだ。状況が変わらずとも新たな動きは生まれるだろうし、またそうなることで再び劇場の方針も変化していくのではないだろうか。

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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