快進撃のトランプ氏「13指標」で見た再選の現実味 過去の大統領選を的中、リットマン氏に聞く

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――「⑦前政権から政策を大きく転換した」については、国内政策で大きな変化がありましたよね。バイデン大統領は、民主党が上下院を制していた就任後の2年間で、大規模な気候変動対策を盛り込んだ「インフレ抑制法」(IRA)や「インフラ投資法」など、大きな成果を上げたと言われています。

そのとおりだ。トランプ前政権から政策が様変わりした。⑦がバイデン大統領に有利なのは間違いない。「⑧社会不安がない」も目下のところ、バイデン大統領にとってマイナスになるような社会不安はない。

――しかし、アメリカでは、イスラエル・ガザ戦争に対する見方が世代によって違います。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を批判し、大学生などの若者が抗議デモを繰り返しました。この分断が社会不安につながる可能性は?

私が言うところの「社会不安」は、もっと大規模なものを指す。1960年代の公民権運動やトランプ政権下の「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動のように、全米規模で何百万人もの市民が抗議デモに繰り出し、「アメリカ社会の安定を揺るがす」ような現象のことだ。

反イスラエルの抗議デモはそこまで行っていない。今後、変わる可能性もあるが、今のところ、バイデン大統領に不利な状況ではない。

バイデン大統領のスキャンダルは今のところないが…

――「⑨大きなスキャンダルがない」についてはどうですか。共和党が制する下院はバイデン大統領を弾劾すべく、その一環として、大統領の次男ハンター・バイデン氏を税金の滞納などの疑惑で追及しています。

野党・共和党はバイデン大統領にスキャンダルを負わせようと動いているが、うまくいっていない。現時点で⑨は「真実(イエス)」であり、バイデン大統領に有利なのは確かだ。とはいえ、今後、共和党がスキャンダルを見つける可能性もあるため、まだ断定はできない。

――今年1月初め、バイデン大統領がロイド・オースティン国防長官の入院を数日間、知らされなかったことや、同長官の健康不安はスキャンダルになりうるでしょうか。そうした懸念を示すアメリカの専門家もいます。

オースティン国防長官の一件はマイナーな問題だ。⑨でいう「スキャンダル」は、国家に甚大な影響を及ぼすような主要なスキャンダルのことだ。国防長官の一件は、バイデン大統領に不利に働くようなレベルのものではない。

「⑩外交・軍事政策で大きな失敗がない」は、中東やロシア・ウクライナ戦争といった、大規模な外交・軍事問題で失敗を犯すことを指す。

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