KDDIは株主の収益拡大要求に、こう答えた 今後の戦略に質問が相次いだ今年の総会

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――KDDI財団に対する有利発行による自己株式の処分について、なぜ取引価格が1円なのか。

田中社長:KDDIとしては、財団の社会貢献活動を引き続き支援していきたい。また、寄付に頼らない自立した運営(KDDI株を持つことで同社の配当金を活動資金とする)にも寄与したいと考えている。そこで、資本取引として最低価格の1円で処分する。仮に現在の価格で換算すると、30億円規模の寄付になる。寄付の場合はテクニカルな課題があるため、こういった形を採らせていただきたい。

業績連動部分は今後も増やす

――業績連動型株式報酬制度については賛成だが、現在は取締役の定額報酬限度額「月額5000万以内」という枠がある。業績で結果を出して、その分の収入を受け取るのは当然のこと。サラリーマンではないのだから、なくすべきでないか。

田中社長:現在は固定の報酬が約75%で、約25%が業績連動分。この制度を導入することで、業績連動分が35%になる。外部の機関で調査しているが、全体として、会社の規模に対して他社より大きいとか見劣ることはない。業績連動部分はこれからも増やしていくつもりだ。

――取締役に若い人がいない。どう育成していくのか。女性の活用についての考え方は?

田中社長:役員の平均年齢は62.8歳。最適な候補だと思っているが、若い人の教育については非常に重要な課題と認識している。社内においてはさまざまな育成プログラムをやっている。若手は積極的に起用していきたい。

両角副社長:現在、正社員の2割が女性。さまざまな取り組みにより(経済産業省と東京証券取引所が女性の活躍推進に優れた企業を選定する)「なでしこ銘柄」を3年連続で受賞するなど、成果を上げている。また、女性の管理職比率7%を目指しており、本部長自ら育成するようにしている。すでに女性理事は1名誕生している。取締役については、議案を承認していただくと、当社初の女性社外取締役が誕生することになる。

――株主数が昨年度より減少している。個人株主をどう増やしていくのか。

両角副社長:株主数は個人を中心に昨年度から1780名減少した。株価が順調に推移してきたことで、利益を実現するために売却したからだ。すでに株式3分割を実施して投資単価を引き下げているし、前期に続き今期も増配の予定だ。また、株主向けの施設見学会といったイベントの開催や、投資家向けセミナーにも30回ほど参加する。株主優待についても、さらに検討する。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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