「忙しくても稼げない」軽バン配達員の過酷な実態 アマゾンもヤマトもウーバーも掛け持ち?

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運送マッチングサービス事業者は、軽バン配達員と、「荷物を運んでほしい」荷主を結ぶサービスである。「PickGo」(CBcloud)や「ケイハイ」(パラダイム・ラボ)などがある。

この3者の割合がほぼ拮抗しているのは、軽バン配達員の多くが、複数の取引先と取引をすることで、仕事を得ている(あるいは、「得ようとしている」)からだと推測される。

軽バンは、車両の都合上、「大きくて重たい」もの(例えば鉄骨など)は運べない。「小さくて軽いもの」を運ぶことに適した軽バン配達員が運ぶものは通販などのBtoC、あるいはメルカリなど個人間売買(CtoC)の貨物が中心となる。

「個人宅への配送」は薄利多売

宅配便の取扱個数は、2022年度、50億0588万個と、ついに50億個の大台を超えた。ただし、この50億個には、アマゾンの自前物流(アマゾン・フレックスやデリバリープロバイダ)による配達個数が含まれていない。

日本での自前物流取扱個数は公表されていないが、アメリカでは宅配大手であるUPS、フェデックスの取扱個数を、アマゾンの自前物流の取扱個数が超えていること(UPS約53億個、フェデックス約33億個、対してアマゾン約59億個)を踏まえると、日本国内においても同様のことが考えられる。

これだけ個人宅への配送個数が増えているのだから、「さぞ宅配大手は儲けているだろう」と思うかもしれないが、実はそうではない。

ヤマト運輸の2023年3月期における営業利益率は3.3%。一方で、ヤマト運輸と並ぶ宅配便の雄である佐川急便における2023年3月期の営業利益率は9.4%。この違いについては、2013年にアマゾンからの撤退を決めるなど、利益率の薄いBtoCではなく、BtoB(企業間)輸送にいち早く舵を切り直したことが要因であるとの見方がある。

ではなぜ、個人宅への配送が儲からないのか? 端的に言えば、再配達などの手間が掛かるのに、荷物1個あたりの売り上げが低いからである。BtoB輸送であれば、1つの荷物(=1カ所の配送先)が、数トンになることもあるが、個人宅への配送は、せいぜい数キロ程度である。個人宅への配送は、薄利多売のビジネスモデルなのだ。

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