「忙しくても稼げない」軽バン配達員の過酷な実態 アマゾンもヤマトもウーバーも掛け持ち?

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だが、ドライバーの数自体が逼迫していることに加え、4月から労働時間の上限規制が設けられることによって既存のドライバーにすべての貨物をさばいてもらうことは難しくなっている。こうした中、「使いたいときだけ使える」軽バン配達員に、繁忙期に溢れた荷物の輸送を委ねる運送会社や荷主が増えている。

実は先の調査では、軽バン配達員の働き方を、閑散期と繁忙期に分けて調査している。閑散期には66%が月収30万円未満だが、繁忙期になると月収30万円未満の層は25ポイントも減り、逆に月収30万円以上稼ぐ層が59%になる。

2024年問題によってトラックドライバーの待遇改善に対する機運が高まりつつある一方、軽バン配達員については、その実情が知られていないこともあって、以前より状況が悪化している可能性もある。

「軽バン」配達員の労働環境を改善するには

これを防ぐためには、待遇の改善と、軽バン配達員の取引先となる、大手通販事業者、運送マッチングサービス事業者、大手運送事業者への監視と罰則の強化が必要だ。具体的には、運賃をアップすること。立場の著しく弱い軽バン配達員にこそ、最低運賃制度の制定が必要だと筆者は考えている。

その上で、結果的に長時間働かなければ、配達が完了しないような、過度な配達ノルマのようなプレッシャーを廃すること。

そして、軽バン配達員に過重労働を強いる取引行為に対し、監視と罰則を強化することも望まれる。例えば、昨年7月に国土交通省が発足した「トラックGメン」は、今のところ運送会社に対し、優越的な地位を濫用する荷主の行為を監視・摘発する役目を担っているが、これを個人事業主である軽バン配達員まで拡大するのは有効な対策となろう。

トラックドライバー同様、軽バン配達員も日常生活を維持するためのインフラとして欠くことのできない存在である。だからこそ、軽バン配達員を、すげ替えの利く消耗品扱いするのではなく、健全に育成できるよう、環境整備を行わなければならない。

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坂田 良平 物流ジャーナリスト、Pavism代表

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さかたりょうへい / Ryohei Sakata

「主戦場は物流業界。生業はIT御用聞き」をキャッチコピーに、ライティングや、ITを活用した営業支援などを行っている。物流ジャーナリストとしては、連載『日本の物流現場から』(ビジネス+IT)他、物流メディア、企業オウンドメディアなど多方面で執筆を続けている。

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