「忙しくても稼げない」軽バン配達員の過酷な実態 アマゾンもヤマトもウーバーも掛け持ち?

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現在は、ある運送会社の営業所で所長を務めるB氏は、15年ほど前に軽バン配達員として働いていた。B氏は運送会社に勤務するトラックドライバーだったのだが、サラリーマンとして宮仕えすることに嫌気が差し、自由な働き方を求めて軽バン配達員へ転身、大手物流事業者の下請けとして数年働いたという。

「結果を言えば、拘束時間は長いし、まったく自由ではありませんでした。売り上げは月で40万~50万円ほどありましたが、割に合わなかったですね。

個人事業主ですから、軽バンの減価償却や燃料代、オイル類やタイヤのメンテナンス費用に加え、税金や健康保険、年金なども売り上げの中でやりくりしなければなりません。こういった諸経費は、当時で月20万円を上回っていました」

現在の所長という立場上、「軽バン配達員として、独立起業したいと考えています」という相談を受けることがあるB氏だが、自身の体験を踏まえ、思いとどまるように諭すのだという。

「今は、私が軽バン配達員だった頃よりも物価も上がっていますし、何よりも燃料代が高騰しています。月40万円くらいの売り上げでは、生活していくのが精一杯でしょう」

軽バン登録数は5年間で3割増加

近年、軽バン配達員は急速に増えている。

「貨物軽自動車運送事業適正化協議会」(国土交通省)によれば、事業用の軽バン登録数は、2021年で28万8226台と、過去5年間で31.4%も増えている。ちなみに営業用トラックの登録台数が約150万台であることを考えると、軽バン配達員がどれほど増えているかがわかるだろう。

ただ、軽バン配達員らの労働環境は厳しい。軽バン配達員の37%が週6日労働、週7日というツワモノも5%存在する。1日あたりの労働時間は、「8時間以内」が41%いる一方で、「11時間以上」が42%。平均月収は、「30万円未満」が55%。一番のボリュームゾーンは、「30万円以上40万円未満」の29%に上る。

(グラフ:国交省「貨物軽自動車運送事業適正化協議会」より)
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