旭化成の内なる危機感、新規事業を生み出せ!

ところがバブル経済崩壊以降は、それらしい目立った動きは途絶えている。負の遺産の整理や既存事業の強化を優先し、大胆な事業進出には至らなかった。

振り返れば、医薬のようにまったくの新天地へ出ていった歴史もあるが、たとえば人工腎臓で始まった医療機器は繊維技術の応用だ。「(自らの技術の)つながりから新規分野に出ていった。もう少しそれを思い出したい」。新分野へ果敢に挑んできたからこそ、今がある。藤原社長はその原点回帰を探ろうとしている。

グローバルでの企業間の競争は激しさを増している。旭化成には、欧米や日本で競合する大手企業だけでなく、中国や韓国などの新興勢力とも相まみえる事態となってきた。売上高規模で見れば、旭化成は世界的に突出した存在ではない。ならば、独自の地位を確立するしかない。

旭化成には電子コンパスという部材がある。電子機器が、方位磁石と同じように地磁気を検知できるようにする技術だ。電子コンパスはセンサーとLSI(大規模集積回路)が融合して生まれた。今では爆発的に成長するスマートフォン向けで圧倒的なシェアを持つ。

「昨日まで世界になかったものを」。グループスローガンを具現化するためにも、多角化を強みに複数の技術やノウハウを組み合わせた価値あるビジネスの創出が、これまで以上に必要となりそうだ。

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(武政秀明 =週刊東洋経済2011年7月16日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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