部品会社が「キャンピングカー」に参入する真意 サスペンションだけじゃなく車体販売も目論む
これについて、担当者は「まだ公表できるものはない」と語る。ただし、車体のトランスフォーム機能は、前述のとおり、コストの問題があるため、新型へは投入しない方向性とのことだが、「室内に関しては、油圧技術を使った何らかのギミックを採用するかもしれない」という。具体的には明らかになっていないが、どんな機能や装備が投入されるのかは、今後の発表を待ちたい。
今後の展開
業界団体の日本RV協会がまとめた「キャンピングカー白書2023」によれば、国内における2022年のキャンピングカー保有台数は、前年より9000台増えた14万5000台。また、同じく国内における新車・中古車を合わせた販売売上合計額は、過去最高の762億円(対前年比120%)を記録したという。
そんな拡大傾向が続くキャンピングカー業界に、新規参入を目指すカヤバ。近年、「100年に一度の変革期」といわれる自動車業界では、多様な技術革新やIT関連などの新規企業参入も続いており、従来の事業だけでは生き残れない可能性も出てきた。そのため、ほかの部品メーカーなどでも、さまざまな新規事業に乗り出している。そんななかで、カヤバの新たな試みが、キャンピングカー業界やユーザーから、どのような反響を受けるのかが興味深い。
ちなみにカヤバでは、キャンピングカー関連の製造を、全国にある製造拠点のうち、埼玉県にある熊谷工場で行う予定だ。理由は、従来、熊谷工場はコンクリートミキサー車などの特殊車両を手がけている場所で、「町工場的な雰囲気もある」ためだという。たしかに、キャンピングカーの製造は、1台1台を顧客のニーズに応じて行うため、大量生産は難しい。まさに、町の工場などで、職人が手作りで生産している印象がある。
そうした点は、コンクリートミキサー車などの特殊車両の製造も似ているのだろう。最近は、例えば、EVシフトなどの影響で、存続が危ぶまれていたり、実際になくなってしまった自動車関連の工場もあると聞く。カヤバの新規事業は、そうした「昔ながらの工場」で働く従業員たちの「雇用を守る」という意味でも注目だ。
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