部品会社が「キャンピングカー」に参入する真意 サスペンションだけじゃなく車体販売も目論む

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カヤバは、前述のとおり、創業88年以上の歴史を持つ老舗企業だ。自動車や2輪車向けの油圧部品はもとより、鉄道用のブレーキやダンパー、航空機用のアクチュエーター、コンクリートミキサー車などの特装車両など、幅広い製品を展開する油圧機器の総合メーカーとして知られている。

カヤバが展示したキャンピングカーの詳細

キャンピングカーコンセプト2024 TASバージョンのインテリア
キャンピングカーコンセプト2024 TASバージョンのインテリア(筆者撮影)

そんなカヤバが今回展示したのが、「キャンピングカーコンセプト2024 TASバージョン」。フィアットのデュカトをベースに、室内に常設のベッドやダイネット、キッチンなどを備えた本格的なキャンピングカーだ。LED照明を備えたウッド張りの天井は高級感もあり、電子レンジや冷蔵庫といった家電製品も採用することで、快適な車中泊を楽しめることがうかがえる。

そんなコンセプトカーに採用されているのが、カヤバが開発中のサスペンションだ。前後の足まわりに装備した新型モデルは、ぱっと見は一般的なサスペンションと同じ。だが、構成部品のショックアブソーバーやコイルスプリングなどには、走行中に軽快なハンドリングを味わえる専用チューニングが施されているという。

展示車両に装着されていた開発中のサスペンション
展示車両に装着されていた開発中のサスペンション(筆者撮影)

カヤバの担当者によれば、「一般的に、従来のキャンピングカーは、操縦安定性や乗り心地に関し、不安や物足りなさを感じるユーザーも多いと聞きます。そうした問題を解消しようとしているのが開発中のサスペンションです。(これを装備することで)普通乗用車と同じように、軽快な走りを味わえるキャンピングカーを作ることを目指しています」という。

確かに、キャビン部に大きな変更を加えたキャンピングカーの場合、家具や家電製品、ベッドなどを備えることもあり、ベース車より車両重量も大きく増加し、走行安定性などは悪くなりがちだ。とくにオリジナルのキャビン部を架装し、全高や全幅などボディサイズを拡張した仕様では、例えば、風が強い日に高速道路を走行すると、横風などで車体が振られるといった声も聞く。

次ページじつは2023年にもキャンピングカーを展示していた
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