台湾の日系自動車向け部品会社で強制労働の疑惑 トヨタ、日産、ホンダ、三菱はどう答えるのか
日本の自動車ブランドが見せたコミットメントと透明性の欠如とは対照的に、アメリカ企業のフォードおよびGMはサプライヤーにおける強制労働のリスクに対処することを約束した。
両社は、サプライチェーンでの紹介手数料の根絶と、そのような手数料が仕事に対し支払われた場合には労働者が払い戻しを受けられるよう保証することを公に明言している(GMの例はこのURLを参照)。
同様の約束をしている日本の自動車ブランドはない。フォードは「この問題を調査中であり、第三者機関による独立審査も要請している」と述べた。
GMは「これらの疑いについて報告を受け次第、直ちにサプライヤーへ連絡した。解決に至るまでサプライヤーと協力し、独立した検証と透明性を求めていく計画だ」と述べた。
私たちが連絡を取っているLMWの従業員の1人は最近、「何も変わっておらず、何の払い戻しも受けていない」と述べている。
国連特別報告者として現代的形態の奴隷制を担当する小保方智也氏(イギリス・ヨーク大学国際人権法教授)は、「台湾の外国人労働者は仕事とビザを得るために恩義を感じており、強制的な状況に弱い」と述べた。そのうえで「出稼ぎ労働者が債務拘束や強制労働に陥る複数のリスクに注意を払うことが重要だ。彼らの労働条件のあらゆる側面を評価する必要がある」と語った。
束縛を取り除くために借金の帳消しを
台湾での自動車生産の多くの部分は、日本企業の関連会社または子会社によって行われている。台湾本田は、ホンダの完全子会社だ。国瑞汽車の株式は、トヨタがその過半数(65%)を所有している。
裕隆日産は裕隆グループ傘下にあり、日産が少数株主(40%)だ。三菱自動車のパートナー企業である中華汽車(China Motor Corporation:CMC)の株式の14%を所有している。
これらの企業は出稼ぎ労働者を雇用しているのだろうか。労働者には強制労働のリスクがあるのだろうか。
その答えはイエスだ。日本の自動車大手2社に関わっている出稼ぎ労働者は、何年にもわたって債務拘束のリスクにさらされてきた。そして一部の労働者は現在もそのリスクがある。
私たちの調査によれば、国瑞汽車は約150人のベトナム人を雇用している。従業員は、採用問題について外部の人間と話さないように経営陣から通知されていると語った。
情報筋によると、ベトナム人労働者は、仕事の紹介料として業者から最大65万円の請求を受けているという。これは、ベトナムでは最低賃金の2年分以上に相当する。
ほとんどの労働者にとっては、高額の借金を背負わなければ支払うことのできない金額だ。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの取引データによると、国瑞汽車はトヨタ車を製造し、世界中のトヨタ関連企業に自動車部品を輸出している。
トヨタは国瑞汽車の件については現在、取り組んでいるとしたうえで、「サプライヤーは国際的な基準に照らして不合理とみなされる高い紹介料やその他の費用で従業員を搾取すべきではない」と述べた。国瑞汽車は、採用プロセスに関していかなる情報の開示も拒否している。
台湾本田にかつて雇用されたことのある出稼ぎ労働者は、仕事の紹介料を払うために高額の借金を負ったと語った。 ホンダは台湾における現在の従業員の国籍と採用慣行に関する開示を拒否した。
三菱自動車は、台湾で三菱ブランドの自動車を製造しているCMCが出稼ぎ労働者を雇用しているかどうかの情報開示を拒否した。裕隆日産も同様に開示を拒んだ。
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