炊飯器、おいしく炊ける高額品が人気の理由 6万~8万円台が人気、1~2人用でも高額化

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メーカー側が技術革新によって、価格の押し上げを実現している面もある。炊飯器で初めての高価格商品といわれているのが、2006年に登場した三菱電機の「本炭釜」シリーズだ。その頃の高価格の炊飯器といえば、「5万円程度が相場だった」(象印)。しかし、このときに三菱電機が打ち出した価格は11万円と、当時としては破格だった。

それ以前は、「内釜を替えることでヨーグルトができる、ケーキができるといったような争いをしていた」(象印)。だが今は、純粋においしくご飯を炊くという点で、各社がこだわって製品開発をしている。

免税店の売れ筋も炊飯器

円安が進み、訪日観光客、特に中国人の購買が増えていることも追い風だ。総合免税店・ラオックスの店内をのぞくと、炊飯器を両手に抱えた人が列を作ってレジに並んでいる。化粧品からお菓子、カメラなど幅広くそろっているが、一番の売れ筋は炊飯器だ。

ビックカメラ有楽町店の家電売り場担当者によると、「訪日観光客の多くが6万~8万円の高額品を買っていく」という。持ってきた写真を店員に見せ、購入することも多い。

足元では、特に2~4人用の5合炊き商品に高額な物が多い。ただ今後は、日立アプライアンスが2014年に発売した1~2人用の「おひつ御膳」のように、小サイズでも高級化が進んでいくとみられる。

6月は秋の新米シーズンに向けて各社が新製品を出してくる時期。価格上昇はしばらく止まりそうもない。

「週刊東洋経済」2015年6月20日号<15日発売>「価格を読む」を転載)

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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