「セクシー田中さん」報道で多発する意外な勘違い 現在のドラマは本当に漫画原作ばかりなのか?

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加えて続編、シリーズ化、映画化、グッズ展開、イベント集客、海外販売などの収益化がしやすいこともオリジナルが重視される理由の1つ。つまり民放各局の間でIP(知的財産)ビジネスを進める上でオリジナルドラマの重要度が高まっているのです。

たとえば昨夏に大きな反響を呼んだ「VIVANT」(TBS系)は福澤克雄氏が演出だけでなく原作から手がけたオリジナルであり、放送に限らず配信、グッズ、イベント、ツアー、さらに続編の含みなど、さまざまな形で収益化して業界内を驚かせました。

ここまで書いてきたようにゴールデン・プライム帯で放送される主要作はオリジナルが主流であり、局をあげた力作ほどその傾向が強くなります。しかし、オリジナルを書ける脚本家がいなければ収益化はままなりません。

だからこそ民放各局は脚本家の発掘・育成に力を入れはじめています。これまでシナリオコンクールと言えば「フジテレビヤングシナリオ大賞」が最もメジャーであり、多くの人気脚本家を輩出してきました。

また、「テレビ朝日新人シナリオ大賞」も開催されていましたが、昨年「日テレ シナリオライターコンテスト」「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE」の2つが新設。これで民放主要4局のシナリオコンクールがそろったことになり、オリジナルを書ける脚本家の発掘・育成と、海外では主流のチームライティング構築に向けた前向きな変化と言っていいでしょう。

その他にも、「他局との原作争奪戦を回避できる」「出版社や原作者との度重なるやり取りや許諾が不要になる」「原作ファンからの批判を避けられる」などオリジナル重視の理由は少なくありません。より収益性を高めていくためには、自局のプロデューサーと編成部主導による自由かつスピーディーな意思決定が必要であり、リスク回避の点も含めてオリジナルが求められているのです。

深夜帯の大半が漫画原作だった

ではなぜ「ドラマは漫画原作ばかり」というミスリードが生まれてしまったのか。その主な理由は深夜帯とNHK総合のドラマにあります。

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