インテルは、なぜ167億ドル買収に挑むのか 「脱パソコン依存」で焦り
このような状況において、ブライアン・クルザニッチCEO(最高経営責任者)は、2014年度版のアニュアルリポートで、「急拡大している、IoT関連市場が本流になる時代が来る前に投資を行い、先導的な地位を確立する」と宣言。実際に、同社の2014年度のIoT関連事業の売り上げは、前期比19%増となる21億ドルに拡大している。
これにアルテラの売り上げを単純合算すると、40億ドル規模に膨らむ。依然としてPC関連の346億ドルや、データセンター関連の143億ドルと比べると小さいものの、インテルが新市場を開拓する橋頭堡を築いたといえる。
具体的に需要拡大が期待されているのは、自動車、工場の自動化設備や家電向けなどの製品だ。中期的にはこうした分野で、無線通信機能を備えた半導体の搭載が増加していくと見込まれる。現状で150億台ほどのネットワークに接続する機器が、2020年には500億台に拡大するとの予測もある。さらに、膨大なデータを処理する、サーバー向けの需要増も追い風だ。
本格化する業界再編
実は半導体業界の大型買収はインテルに限った話ではない。今年3月には、車載用半導体に強みを持つ蘭NXPセミコンダクターズが、競合の米フリースケール・セミコンダクタを167億ドルで買収すると発表。5月末に発表された、米アバゴ・テクノロジーによる通信用半導体の米ブロードコムの買収金額は370億ドルと、日本円で実に4.6兆円にも上った。
民間調査会社IHSグローバルの南川明アナリストは、「NXPは成長する車載分野でのシェア拡大、アバゴはIoTに対応する技術獲得などで、対応を急いでいる」と、その背景を分析する。
半導体に対するニーズが大きく変わりつつある中、大型買収を含む業界再編の動きは今後も続きそうだ。
(「週刊東洋経済」2015年6月20日号<15日発売>「核心リポート03」を転載)
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