エプソン製プロジェクターが狙う新市場の開拓 麻布台ヒルズのアートミュージアムもサポート

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そこでエプソンが期待をかけるのが、家庭で映画を楽しむといった個人使用と、前述のデジタルアートミュージアムに代表されるようなプロジェクションマッピングなどの空間演出のための使用という、大きく2つの市場だ。

そのうち家庭用プロジェクターは従来、音響機器やスクリーンなども一緒に揃えて本格的に映画を楽しむ、「ガジェット好き」といわれるような層を主要顧客とした製品だった。

しかし、ネットフリックスやアマゾンプライムビデオなどの動画サービスが普及し、家で映画を楽しむ機会が増えた。すると、狭い家・部屋でも大画面で映画を観たい、というニーズがアジアの若い世代を中心に生まれた。

10万円以上の製品の販売が増えている

日本の若い世代でも家にプロジェクターを持っていることがもはや珍しくはない。「壁に投影すればテレビよりも部屋が広く使える」「大勢での観賞に適しており、推し活で使うと盛り上がる」など評判がよく、今後もますます普及しそうだ。

家で過ごす時間を充実させる動きが強まったコロナ禍を経て、若年層以外からの支持も広がった。エプソンによれば、市場拡大に伴い、高画質なものや短焦点のものなど機能性の高い高価格製品の販売台数が増えている。

エプソンによれば、ホームプロジェクター市場に占める10万円以上の製品の台数構成比は、2021年度には10%にも満たなかった。それが2022年度には20%を超えた。2023年度には30%近くに達するとみられる。

【2024年2月16日16時00分追記】上記の記述を一部修正いたしました。

もう一つの空間演出市場にも変化が見られる。

「飲食店や小売店が、顧客に対し『そこでしかできない体験』を訴求する手段として使うケースが国内でも増えている」。エプソンの国内販社であるエプソン販売でプロジェクターを扱う小宮正志VP(ビジュアルプロダクツ)MD部長はそう話す。

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