政府は「仕事の復旧」と被災者福祉の拡充に全力を

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 この例に限らず、被保護世帯では義援金をいっさい使わずにいるケースが少なくない。復旧、あるいは原発事故処理の見通しが立たない状況下で、地元からの避難となれば大きな費用がかかるし、東電が仮払い補償金について、「返済を求めることもある」としているからだ。

このままでは失業急増

農村部でも深刻さが増している。原発被害に伴う避難措置や津波による塩害によって、今年の作付けが不能となっただけではない。収入の道が閉ざされてしまった中で、専業農家では今、事業意欲が高かった人ほど、設備投資の負債に苦しまなければならない事態になりつつある。

震災発生直前まで、「自由貿易にも勝てる強い農業を」と言ってきたのは現在の菅政権。にもかかわらず、今、二重、三重の苦悩に直面する農業従事者に対し、現政権はほとんど何の手も差し伸べていないと言わざるをえない。借り上げ農地の提供すらまったく進展していないのが実情で、農業従事者の中には、国からの援助をあきらめ、自力で農業用地を借用するため、全国を走り回っている人もいる。だが、残念ながら、取材情報のかぎりでは、努力が報われたという話はほとんど聞かない。

こうした労苦が報われず、事業への意欲が腰折れしたとき、彼らもまた、完全失業の世界をさまようことになりかねない。

このままでは、生活保護問題はさらに深刻化する。被災地では、廃業とそれに伴う失業者が増え続けている。福島県いわき市でボランティア活動の中核メンバーとなっているある男性は、失業した若者たちに声をかけ、復旧支援活動の輪の中に入れて報酬を支払う活動をしているが、それにも限界がある。

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