五反田、「大崎」を名乗る施設が多い駅の周辺事情 地名の由来「広大な田んぼ」は今オフィス街に

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五反田の発展には「星製薬」が大いに貢献したとされる。五反田駅開業と同じ1911年に本社工場を開いた。むろん、新駅設置をにらんでの計画であろう。

戦後、創業者の星一が亡くなって経営難に陥り、会社は売却。1967年には工場は厚木市へ移転した。なお、星一の息子で、短い間ながらも2代目社長となったのが星新一。会社の再建はできず、後にSF作家として高名を残す。ちなみに母方の祖母の兄は森鴎外だ。文学者の血も色濃く受け継いでいたのだった。

大型コンベンションセンターが建て替え

星製薬の工場の跡地に建設されたのが、コンベンションセンターや商業施設の複合ビル「TOCビル(東京卸売センタービル)」だ。1970年のオープン当時は、日本最大の容積率を誇る建物として知られていた。五反田駅西口でよく見かける派手なシャトルバスは、こことの間を結んでいる。

TOCビル
間もなく改築に入るTOCビル(筆者撮影)

このTOCビルの建て替えが、現在の五反田における大きな再開発計画の1つだ。2023年には解体が始まる予定であったが、2024年1月末現在、まだ工事には未着手である。ただ、ビル内の郵便局をはじめ、商店などは順次、閉店、移転を始めており、ほどなく巨大ビルは姿を消す。

新TOCビルは地上30階、地下3階、高さ約150mとなる計画。当初は2027年の完成が予定されていたが、これも遅れる見込みである。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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